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呪いのタピオカ

新宿のパセラというカラオケ店でオフ会があった。

そこで熱唱のあまり、アサギちゃんが
テーブルの上の飲み物のグラスを倒してしまった。

中身のタピオカ入りミルクティーが
テーブルにぶちまけられ、床にもこぼれ落ちた。

おしぼりでふき取りながらタピオカを指でつまむと 
なんとも言えないもっちもちの感触がする。

アサギちゃんはマイクを離さず、歌い終えるまで 
タピオカの相手などしていられる状態ではなかった。

さて、当日はそれくらいで無事に楽しく終わった。

ところが、その翌日の朝から
アサギちゃんの身に異変が起こるようになった。

まず、夢。
タピオカの池で溺れそうになって目が覚めた。

それから、トイレ。
大便が小さな粒状になって出てくる。

タピオカが未消化のまま出てくるのかな 
などと思っていたら、いつまでも出てくる。

鼻をほじくっても、そんなのが出てくる。
耳掃除をしても、そんな塊が取れる。

さらに、肌をこすったり掻いたりすると 
タピオカみたいな粒状の垢がボロボロ落ちる。

まさか、あの床にこぼれたタピオカの呪いか。
世間知らずなアサギちゃんは不安になる。

スマホで検索してタピオカを調べてみると 
キャッサバの根茎から製造されるデンプン、とある。

キャッサバはマニオク、マンジョカとも呼ばれ 
キントラノオ目トウダイグサ科イモノキ属の熱帯低木。

救いを求め、アサギちゃんは必死に唱える。

「タピオカ、キャッサバ、マニオク、マンジョカ
 キントラノオ、トウダイグサ、イモノキ」

よくわからないが、不思議なことに 
それからタピオカの呪いはパッタリ止まったそうである。
 

更新日:2016-07-29 20:28:16

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