• 4 / 19 ページ

Sさんの誕生日、次の日

「おはよう、潤」

「……おはよ」

俺より早く起きて、台所に立ってる翔くん。

「朝、食べるだろ?」

「うん」

若干の不安はあるものの、皿に乗ってるスクランブルエッグは美味そうに見えた。

「顔洗ってこいよ。シャワー浴びる?」

「うん」

途中で手を止めて、俺にバスタオルを渡してくれた。

「これ、使っていいから」

「うん。ありがとう」

バスルームに入って、熱めのシャワーを浴びる。
昨日の事は、夢?

「潤、気持ちいいよ。そこ」

優しく俺の頭を撫でてくれる手。
熱い翔くんの吐息。
もっと翔くんに感じて欲しくて、頑張った。

「ほら、俺と潤の、混ざりあってるよ」

「翔く、ん」

お互いを握りしめて、お互いの腹に出し合って。
それでも足りなくて、俺は翔くんを貪った。
口の中に微かに残る、翔くんの名残り。
それだけが、昨日の事が夢ではないことを告げていた。

更新日:2016-07-09 08:28:58

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook