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くつろぎの時間

≪ご注意≫ オリキャラが登場します。
苦手な方はお気をつけ下さい!


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「ここか……やっとみつけだぜ」

工藤新一が腕時計を見れば、午後十時五分前──。

時間通りに店についたことにホッと息をつく。

約束の店は表通りから車が一台通るのもやっとの細い路地にあり、
店の入口は高いコンクリートの壁に挟まれていて、
まるで入口を隠すように道路からずい分と奥まったところに位置している。

店の入口のドアの横には……
『oasis』と英語で書かれた木製の小さな看板が出ているだけで、
外からだといったい何の店だかよくわからない。

これでは看板がなければ、ただの住宅と間違えそうだ。

新一も名刺にあった住所を頼りにタクシーを表通りで降りると、
細い路地を歩いて店を探したのだが、入口が見つからず、
この辺りをウロウロと彷徨ってしまった。

それは都内でも外国人が多く住む高級住宅街の一角にある、
知る人ぞ知るといった隠れ家的なBarだった。

新一がやや緊張した面持ちで、
どっしりとした重量感のある木の扉を静かに開ける。

すると、店内は天井も高く、想像していたより広くて開放的で、
店の中央には正統派のバーを思わせるシックなバーカウンターがあり、
店内の奥のスペースには丸いテーブル席がいくつか設けられている。

BGMには静かなジャズの音楽が流れ、
少し明かりを抑えた柔らかな照明が暖かみを演出し、
レンガ色の壁には美女や恋人たちのモノクロ写真が飾られて、
どこか大人だけが楽しめるような、都会の喧噪を忘れさせてくれる癒しの空間が──
そこにあった。

更新日:2018-05-15 23:35:42

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Someday ~ もう一つの物語 【コナンで新一×志保】