官能小説

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 本来、この呪符は雷に渡されるはずだった。東武が雷と音の個別認識ができないばかりに間違って渡ってしまったが。もしこの守り袋に、雷と音の名前をわからぬようにどこかに記してあるならば、例え間違った持ち主に渡ったとしても効力を発揮するのかもしれない。
 よくよく考えてみれば、雷が体調を崩しだしたのも、この守り袋を東武から受け取ってすぐのことだ。
「音殿!竈に火ぃ起こして!早く!」
 南海の剣幕に、訳も分からぬまま音が台所へと駆け、火をおこし始める。
「雷殿、もう大丈夫や。これを焼いてしまえば平気やから」
 取り乱して悲鳴を上げる雷を腕の中に抱き、背を何度も撫でてやる。
 火はあらゆるものを浄化させる。この呪符も魔除けも燃やしてしまえば効果は失せる。魔除けの方は燃やさなくてもいい気もするが、呪符を渡した人間が作ったともなれば、ただの護符ではないかもしれない。そういった意味では両方処分するに越したことはない。
 不可解な連続殺人事件も東武が江戸に現れてからだ。学者というが、本当かどうか今となっては怪しいものだ。そして東武はこうも言っていた。
「嘘と真をふるいにかける時、必ずや犠牲が出ます。今回は少々大掛かりになりそうですので、くれぐれもお気を付けください」
 あいつが何か仕掛けたんや!
 あの男は間違いなく、今回の事件に絡んでいる。その仕掛けの一端がこの守り袋であることは間違いなかった。

更新日:2016-04-10 23:17:39

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