官能小説

成人向けコンテンツについて
R-18

ここから先は未成年にふさわしくない成人向けの文章が含まれています。

18歳未満の方、もしくはこのような小説を不快に感じる方は「入室しません」を選択してください。

上記の内容に同意される場合のみ「入室します」をクリックしてお進みください。

  • 11 / 18 ページ
「正しくは魂の入れ物が緩いっていうのかな?そもそもが母親が自分の怨念を継承させるための器として産むわけだから、そういったものに非常に憑かれやすいんだよ、鬼子は」
 東武の言うてた「多産児は悪いものが憑きやすい」というのはそういう事やったのか。
「出産と同時に母親は命を落とし、怨霊となって鬼子に憑く言うことですか?」
「そう」
「そないなら、何で菩薩子の方も殺されるんです?鬼子だけ殺せばええ話やのに」
「鬼子の殺し損ねが多発するからだよ。そもそも心当たりのある連中が出産に立ち会うわけなんだけど、そこに双子を産み落とされてごらんよ。自分たちへの怨嗟の象徴が眼前にあり、同じ顔が二つ転がってるんだ。混乱して殺す方を間違えても仕方ないだろう?二人とも殺してしまえばそんな手違いもないからね」
「そんな無体な!子は何も悪くないのに」
「そうだね。悪いのは他の大人たちだ。だが、悪霊は自分の恨みを晴らしたからと言って成仏してくれるわけではない。負の感情を引き寄せ続け、最終的には無差別に人を襲う。火種を消すには早い方がいい。表向きは鬼子を殺し、菩薩子を大切に育てるとなっているが、実際片割れだけなんて見たことないだろう?」
 髙島屋の言う通り、自分は双子の片割れだなんていう人間を見たことがない。同じ顔かどうかというのも、二人揃って始めてわかることだ。多産児殺しの風習は知っていても、実際に見たのは雷と音が初めてだった。
「でも、怨霊が憑(と)りついているのなら、怨霊だけ殺せばええんやないですか?」
 音を殺したくない一心で南海は髙島屋に訴える。
「憑代ごと斬るならまだしも、霊だけ祓うとなると、憑代と怨霊を分離させる必要がある。ただの人に憑いたものとは違い、鬼子の場合は憑いてるというより、半ば同化していると考えた方がいい。それを分離させるには『憑物落(つきものおとし)』と呼ばれる特殊能力を持つ者が必要だ。残念だが、この国にその能力を持つ者は数えるほどしかいない。本人の意思とは関係なく、怨霊は人を襲っている。時は一刻を争うんだ」
「そないなこと言われたって……」
「南海、もう一度命ずる。明日の夜、医者の元へ薬を取りに行く音を闇に紛れて斬れ」
 取り付く島もない髙島屋に、南海は異を唱えることができなかった。

更新日:2016-04-24 21:52:44

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

菊理桜怨嗟の憑代【百貨店擬人化二次】 R-18