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レプリカ楽器による音源

挿絵 800*534


3)レプリカ楽器による音源

アルペジョーネによる同ソナタの演奏音源について.

①1974年, クラウス・シュトルク(Klaus Storck, 1928-2011)によるオリジナル ミッタイスモデルで弾いた演奏記録 .

「シューベルト特有のメランコリックな表情がよくあらわされており,フォルテピアノの質朴な音色との組み合わせもあり,聴きなれたチェロのアルペジョーネとは大きく異なる世界を示し大変に興味深い仕上がりとなっている.」6)

②1980年, アルフレッド・レシング(Alfred Lessing, 1930-2013)が,シュタウファー作のオリジナル楽器によって,シュスター Schuster, ヨハン・ブルグミューラー Johan Friendrich Franz Burgmuller(1806-1874), アントン・ディアベリ Anton Diabelli(1781-1858)などのギター作曲家の作品を弾いた演奏記録.7)

③ハンブルク芸術大学室内楽教授のゲルハルト・ダームスタット(Gerhart Darmstadt, 1952-)が,アントン・ミッタイス・モデルのオリジナルの楽器で弾いた演奏記録 .8)

④若手のアルペジョーネ奏者でベルギー王立音楽院准教授ニコラ・デルタイユ(Nicolas Deletaille, 1979-)が,ベルギーのヴァイオリン製作者Benjamen La Brigueによる楽器(2001年製)で,シューベルトの同ソナタを演奏している .9)


4)楽器

①全体像

 アルペジョーネは全長約1200mmで,これはバロック・チェロとほぼ同様の長さであり,モダンチェロの3/4サイズに匹敵する.ヘッドはハンマー(金槌)型でクラシックギターのデザインを受け継いでいる.胴体はギターのように緩くくびれ,サウンドホール(音孔)はC字体をすこしなだらかな曲線にした特徴あるデザインである .

(写真 挿絵)
奥村治作 
復元したアルペジョーネ(アントン・ミッタイス 1824のレプリカ) 

演奏: 
ニコラ・デルタイユ(Nicolas Deletaille, 1979-)
ベルギー王立音楽院准教授,
奥村治作Anton Mitteis 1824 Arpeggioneを弾く.
(Tokyo Bruxelles Trio concert, Tokyo 2012より.)


②調弦

 ギター調弦と同じく,E, A, d, g, h, e (4,4,4,3,4)の四度と三度を組み込んだ開放弦となっており,五度調弦であるチェロやヴァイオリン属とは異なる.


③指板

 金属のフレットを24つけている点でギターと共通する.ギター愛好家には音程をとりやすい楽器と感じたことであろう.しかも小型で持ち運びがたやすいという利便性から,アルペジョーネが使われ始めた当時はギターとのデュオや歌の伴奏などで流行したのではないかと推測できる.

5)アルペジョーネの代用楽器と楽譜

 現在同ソナタに関する演奏では,この楽器の代わりにヴィオラ,チェロ,コントラバスなどを用いて演奏されることが多い.
 その他,フルート,アルトサックス,トランペットなどの管楽器でも演奏されている.
 参考までに,ファクシミリ版をフランスの楽譜社フュゾ(Fuzeau)が現在も出版している.内容を見るとチェロのように縦弾きの構え方や通常のスケール練習曲,そしてボーイング奏法など基礎的な教則本となっている.

更新日:2016-03-15 11:03:04

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シューベルトが愛した弦楽器・アルペジョーネ