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アルペジョーネに関わる三大Sの人物

アルペジョーネに関わる人物には,偶然ながら頭文字のSが共通する3人の偉人がいる.
一人目は,アルペジョーネという弦楽器を1823年に発明した,ギター工房のヨハン・ゲオルク・シュタウファー(Johann Georg Staufer, 1778-1853)である.
二人目は,作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797-1828)である.彼はアルペジョーネのために書かれた,著名な唯一の作品《アルペジョーネとピアノのためのソナタ》を1824年に作曲した.
そして三人目は,チェリストのヴィンセンツ・シュスター(Vincenz Schuster, 生没年不明)であり,1824年末,同ソナタを初演した.1824年末,シュスターは,ウィーンのディアベッリ社から教則本を出版し ,通算5回,同ソナタを併せて演奏している.2)
同ソナタを作曲するきっかけや依頼には諸説ある.「同ソナタの作曲の依頼は,楽器製作者のシュタウファーだ」という説がある一方 ,「シューベルトに同ソナタの作曲を依頼したのはシュスターではないか」という説もある .

アルペジョーネの楽器の記事が掲載された記録には,次のようなものがある.

まず, フリードリヒ・アウグスト・カンネ Friedrich August Kanne(1778-1833)が,1823年『音楽報知新聞 Allgemeine musikalische Zeitung in Leipzig』に「ロマン主義の悲しい死」と題する論文でこの楽器の解説をしている.
そして1824年の同誌にもその説明がある.「ギターの形状に似て,大ぶりであり,巻きガット絃が張られている.弦は弓の中央部で演奏される.音色の美しさ,豊かさ,愛らしさで高音域はオーボエに近く,低音域はバッセトホルンに近い.容易に半音階のパッセージと重音の奏法ができる仕様となっている」 .3)

三大Sの偉人のうち,作曲家シューベルトはこの楽器のためにソナタを1曲書いたが,若くしてこの世を去った.楽器はその後約10年間流行したようだが廃れ,現在は幻の楽器となっている.

更新日:2016-03-15 10:53:26

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シューベルトが愛した弦楽器・アルペジョーネ