- 12 / 37 ページ
新学期~優木ver~
「ねーねーかおるちゃんってさー」
それは入部したばかりの家庭科部でのできごと。
「なに?」
一緒に入部した女子二人が俺の机を囲む。
「最近寿先輩と仲よくない?」
まさかこの二人から寿先輩の名前が出てくるとは思わず、ドキッとする。
最近俺は2年の寿先輩にお世話になっていて、今日も文化祭のことで相談にのってもらってた。
先輩はこんな女子みたいな俺にも優しく接してくれるから…
俺はそんな先輩に完全に甘えてる。
「ああ、いろいろ教えてもらってるよ」
言うとなぜかテンションが上がる二人。
「かおるちゃんと寿先輩ってすっごいお似合いだと思う!!」
「寿先輩もかおるちゃんのこと、まんざらでもなさそう!!」
「ちょっと待って、なんでそうなるの…?」
完全に話が飛躍している…これだから女子は…
「わたしたち協力するから!かおるちゃんもっと寿先輩と仲良くなりなよ!!」
「そんなの無理だって。先輩ちゃんと彼氏いるんだから」
知らないんだ、寿先輩が誰と付き合ってるか。
吉岡さん…
俺は中学の頃、陸上部だった。
大会でいつも上位に名を連ねていた吉岡さんに出会ったのは中学1年のころ。速くて、かっこよくて…俺はずっと吉岡さんに憧れてた。あんな風になりたいって。
星が丘に入ったって噂は聞いてたけど、まさかこんなところで再会するなんて…しかもあろうことか、寿先輩の彼氏。
正直勝てる気しないし、それに二人を学食で見た時、すごくお似合いだって思ってしまった。
「大丈夫、わたしたちに任せて!かおるちゃんと寿先輩くっつけるから!!」
先輩彼氏いるって言ったの聞いてた…?
「だめだって!あんまり迷惑かけたら!!」
まだ好きとかそんな整理もできてないし、なにより先輩に嫌われたくない。せっかく仲良くしてもらってるのに…。
俺の必死の抵抗もむなしく二人は強引に俺を寿先輩のもとへ連れていく。
「後輩としてだから!ね!」
そんな二人に押されて日曜日、先輩と女子二人とで繊維街に作品の材料の買い出しに行くことになった。
こんなことになったしまったけど、休みの日に寿先輩と一緒にいられるのは素直に嬉しい。
クローゼットから服を出してはしまい…その繰り返し。
濃紺スキニーデニムに黒×白のギンガムチェックシャツ。黒カーデ。
スニーカは…赤のオールスターかなぁ。
先輩こういうの好きかな…
結局このスタイルに落ち着いて、お気に入りの茶ブチのだてメガネをかけて家を出る。
バスに乗ったと同時にメール受信。
「(あ…)」
女子二人。
『今日わたしたち行けなくなりましたー!寿先輩によろしく!がんばれ!!』
まじかよ…
これじゃ俺が先輩と二人になりたくて誘ったのバレバレでしょ!!
だったらこんな回りくどいやり方しないで最初から…
バスの後部座席で一人もやもやすること約10分…途中のバス停で人が乗ってきた。
「あれ?」
その声に俺は顔を上げる。
「寿…先輩…?」
バスにのってきたのは寿先輩だった。
同じバスだったなんて…!!
俺の動揺はマックス。
だって寿先輩が来てる服が…!!
黒×白のギンガムチェックシャツに色は違えど、ライトブルーのスキニージーンズ。それに…白いオールスターのハイカット!?
め、めちゃくちゃかぶってるじゃん!!!
「優木くん!バスいっしょだったんだ!」
寿先輩は隣いい?って聞くと俺の隣に座る。
ふわっと隣に座る先輩からは甘い香り。
そして近い…!!
「ねぇ…なんか今日服同じ?」
先輩が俺の服装を全身じろじろ見るとクスクス笑いだす。
「あースニーカーもかぶってるじゃん!」
もうたまらなくなってとにかく謝った。
「すみません!!空気読めなくて!!俺ずっとこれ羽織ってるんで…」
必死でカーデのボタンを全部占める。
「カップルみたい?」
「え…」
純粋な瞳でいたずらっぽく笑う。
カップル…って恋人同士って意味だよね…?俺と先輩が?
一瞬で脳内にいろんな妄想がよぎり顔がかぁーっと熱くなる。
なんて小悪魔なんだ…寿先輩
「メガネも似合ってるね~いいなぁ」
そう言って俺の顔をぐーっとのぞき込む。
そ、そんなに見られたら、照れてるのばれる…!!
「あっあの先輩、今日あの二人これなくなったみたいで…」
なんとか話を逸らそうと、あの迷惑な女子の欠席を伝えた。
「あ!そうなの?」
「俺と二人でも…大丈夫ですか?」
恐る恐る先輩に尋ねた。
こんな俺でも一応男。いっしょに歩いてたら迷惑になるかも…断られることは覚悟していた。
「全然!じゃあ二人で繊維街満喫してこよっか!」
俺の考えとは裏腹に、先輩は笑顔で答えてくれた。
だめだ…もう俺先輩のこと好きになりそう
ていうか、好きだ…
それは入部したばかりの家庭科部でのできごと。
「なに?」
一緒に入部した女子二人が俺の机を囲む。
「最近寿先輩と仲よくない?」
まさかこの二人から寿先輩の名前が出てくるとは思わず、ドキッとする。
最近俺は2年の寿先輩にお世話になっていて、今日も文化祭のことで相談にのってもらってた。
先輩はこんな女子みたいな俺にも優しく接してくれるから…
俺はそんな先輩に完全に甘えてる。
「ああ、いろいろ教えてもらってるよ」
言うとなぜかテンションが上がる二人。
「かおるちゃんと寿先輩ってすっごいお似合いだと思う!!」
「寿先輩もかおるちゃんのこと、まんざらでもなさそう!!」
「ちょっと待って、なんでそうなるの…?」
完全に話が飛躍している…これだから女子は…
「わたしたち協力するから!かおるちゃんもっと寿先輩と仲良くなりなよ!!」
「そんなの無理だって。先輩ちゃんと彼氏いるんだから」
知らないんだ、寿先輩が誰と付き合ってるか。
吉岡さん…
俺は中学の頃、陸上部だった。
大会でいつも上位に名を連ねていた吉岡さんに出会ったのは中学1年のころ。速くて、かっこよくて…俺はずっと吉岡さんに憧れてた。あんな風になりたいって。
星が丘に入ったって噂は聞いてたけど、まさかこんなところで再会するなんて…しかもあろうことか、寿先輩の彼氏。
正直勝てる気しないし、それに二人を学食で見た時、すごくお似合いだって思ってしまった。
「大丈夫、わたしたちに任せて!かおるちゃんと寿先輩くっつけるから!!」
先輩彼氏いるって言ったの聞いてた…?
「だめだって!あんまり迷惑かけたら!!」
まだ好きとかそんな整理もできてないし、なにより先輩に嫌われたくない。せっかく仲良くしてもらってるのに…。
俺の必死の抵抗もむなしく二人は強引に俺を寿先輩のもとへ連れていく。
「後輩としてだから!ね!」
そんな二人に押されて日曜日、先輩と女子二人とで繊維街に作品の材料の買い出しに行くことになった。
こんなことになったしまったけど、休みの日に寿先輩と一緒にいられるのは素直に嬉しい。
クローゼットから服を出してはしまい…その繰り返し。
濃紺スキニーデニムに黒×白のギンガムチェックシャツ。黒カーデ。
スニーカは…赤のオールスターかなぁ。
先輩こういうの好きかな…
結局このスタイルに落ち着いて、お気に入りの茶ブチのだてメガネをかけて家を出る。
バスに乗ったと同時にメール受信。
「(あ…)」
女子二人。
『今日わたしたち行けなくなりましたー!寿先輩によろしく!がんばれ!!』
まじかよ…
これじゃ俺が先輩と二人になりたくて誘ったのバレバレでしょ!!
だったらこんな回りくどいやり方しないで最初から…
バスの後部座席で一人もやもやすること約10分…途中のバス停で人が乗ってきた。
「あれ?」
その声に俺は顔を上げる。
「寿…先輩…?」
バスにのってきたのは寿先輩だった。
同じバスだったなんて…!!
俺の動揺はマックス。
だって寿先輩が来てる服が…!!
黒×白のギンガムチェックシャツに色は違えど、ライトブルーのスキニージーンズ。それに…白いオールスターのハイカット!?
め、めちゃくちゃかぶってるじゃん!!!
「優木くん!バスいっしょだったんだ!」
寿先輩は隣いい?って聞くと俺の隣に座る。
ふわっと隣に座る先輩からは甘い香り。
そして近い…!!
「ねぇ…なんか今日服同じ?」
先輩が俺の服装を全身じろじろ見るとクスクス笑いだす。
「あースニーカーもかぶってるじゃん!」
もうたまらなくなってとにかく謝った。
「すみません!!空気読めなくて!!俺ずっとこれ羽織ってるんで…」
必死でカーデのボタンを全部占める。
「カップルみたい?」
「え…」
純粋な瞳でいたずらっぽく笑う。
カップル…って恋人同士って意味だよね…?俺と先輩が?
一瞬で脳内にいろんな妄想がよぎり顔がかぁーっと熱くなる。
なんて小悪魔なんだ…寿先輩
「メガネも似合ってるね~いいなぁ」
そう言って俺の顔をぐーっとのぞき込む。
そ、そんなに見られたら、照れてるのばれる…!!
「あっあの先輩、今日あの二人これなくなったみたいで…」
なんとか話を逸らそうと、あの迷惑な女子の欠席を伝えた。
「あ!そうなの?」
「俺と二人でも…大丈夫ですか?」
恐る恐る先輩に尋ねた。
こんな俺でも一応男。いっしょに歩いてたら迷惑になるかも…断られることは覚悟していた。
「全然!じゃあ二人で繊維街満喫してこよっか!」
俺の考えとは裏腹に、先輩は笑顔で答えてくれた。
だめだ…もう俺先輩のこと好きになりそう
ていうか、好きだ…
更新日:2016-03-31 21:09:46