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第十章 補い

挿絵 768*87

オリジナル
http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1590016.html


そして八月を迎えて、


健と沙耶は夏休みに入った。


家族や水野の幹部達も落ち着きを見せ、


これだけ多くの幹部を抱える個人企業でも、


人手が足りなくなる程、


営業活動が功を奏していた。


新築家屋の手はずから、


マンション購入の手はずで、てんてこ舞いであった。


すると健は自宅の二階の自分の部屋から、


スーツを着て階段を下り、一階の廊下に立つと、


後から沙耶も普段着で降りて来た。


そこに母親の天菜が居間のドアを開けて、


二人の前に佇んだ。


すると健が、


「俺は今から師匠達のサポートに行って来るよ、


沙耶はバイトで俺が一緒に、職場まで付いて行くから」と、


母に告げると天菜は、「沙耶ちゃん評判良いらしいわね。


日菜子叔母さんが絶賛していたわよ」と、


褒めると沙耶は、「そんな事は有りませんよ。


でもバイト料弾んで貰ってますから、


しっかり業務をこなそうと、努力はしていますが」と、


謙遜すると健も、「叔母さん大喜びだよ。


器量も気立ても良い娘二人を、


店に置いたら客の評判が上がって有難いとさ」。


それを耳にした天菜は笑いながら、


「日菜子に個人的にも、謝礼出して貰いなさいよ健に。


店に貢献しているのは健の彼女よ。


誰のお陰で店が更に繁盛しているかよね」と、


指示すると健も笑いながら、


「俺が幼い時おばさんに、


ナイフで脅かされた事も兼ねてね」と、


付け加えると天菜は、「そうよ、


誰のお陰で今が存と思っているのかしらね。


義理の娘のバイト料減らしたら、


私が強制的に沙耶ちゃんに、


バイトを辞めさせるわ」と、思い起こすと沙耶は、


「でも私は日菜子さんに、


何時も感謝されていますから。


私も日菜子さんの所に努めて、


働ける場所を与えてくれたので、


悪い事は言えません」と、敬うと天菜は、


「そうね持ちつ持たれつよね」と、悟った。


そして沙耶を喫茶店サンフラワーに置いて、


健は茂率いる水野不動産支店にて、


幹部と共に営業活動に励んだ。


沙耶も愛と組んで喫茶店を切り盛りしていた。


そして午後の三時頃お客も履けて、


仕事が一段落すると、茂と修二そして智仁は、


喫茶店サンフラワーにて、


カウンターで寛いでコーヒーを飲んでいた。


するとカウンターの奥で、


コーヒーカップを拭いていた日菜子が、


「本当に助かっているよ。


美人で真面目で料理上手な子が一人増えてくれて、


バイト料弾ませて貰ったよ」と、


上機嫌な日菜子に修二は、


「大分この店は開店当初から、


水野さんに補われていますね」と、


感じると日菜子は虚ろな表情になり、


「ま、まあ過去の事はどうあれ、


天菜や清には感謝しているよ」と、


謙遜するとテーブル席で、片付けをしていた愛が、


「健君にも感謝した方が良いかと思いますが。

更新日:2016-01-20 14:06:47

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