官能小説

成人向けコンテンツについて
R-18

ここから先は未成年にふさわしくない成人向けの文章が含まれています。

18歳未満の方、もしくはこのような小説を不快に感じる方は「入室しません」を選択してください。

上記の内容に同意される場合のみ「入室します」をクリックしてお進みください。

  • 5 / 33 ページ


ゆっくりとホールの中を見渡していた
俺に

「義一様、奥様から回線がつながりまし
たが・・・」、

秘書が携帯を差し出した。


モニターの準備をさせて、モバイルを
接続するとそこに、母さんが映った。




「会場の皆さん、本日は遠いところ
お集まりいただいてありがとう・・・」、

母さんが頭を下げると、社員も、それに
合わせて頭を下げた。



「本来ならばそちらに伺うべきところなの
ですが、少し体調を崩してしまい、伺う事
が出来ませんでした、ごめんなさい・・・・。

今日は、故人の思い出とともに、楽しく
過ごして下さいね。 」、


簡単な挨拶を済ませて、母さんは回線を
落とした。





「ギイ、おふくろさん、どこか悪いのか?」、

章三が心配そうに俺の元に来て

「いや、そんな報告はないな。少し風邪を
こじらせただけだと聞いてる。」、

俺の言葉に、


「少し顔色が悪かったのは、映像のせい
なのか?」、

三洲も心配して周りに聞こえない位の声で
聞いてきた。



「そう言えば、忙しくて、全然会ってないな、
母さんがこっちに戻って来ても俺は仕事だ
からな・・」、

ちょっと反省している俺に、



「いつでも会えるなんて思うなよ、大事な人
は、ちゃんとそばに置いておけよ」、

三洲が真っ直ぐに俺を見た。





「・・わかってる・・・」、

俺は素直に頷いた。




「おふくろさんが来ないって事は、島岡さん
に逢えないのか?」、

三洲があたりを見回した。




「ん、まあそうなるのかな・・・」、

俺も、また出入り口を見つめる。





島岡は、FグループとMグループの提携が
決まった昨年、辞職願を出した。

すべての責任を、取らせて下さい・・・
そう言って。





でも、俺は承諾しなかった。



「お前には、一生かけてやってもらう仕事が
あるよな・・」、

そう言ってその肩に手を置くと、



「・・・はい。」、

意味を理解した島岡は頷いた。




「母さんの秘書兼、託生の捜索指揮長
として、移動だ。」、

俺は島岡を手放した。


それ以来、島岡は、パリの母さんの元で
働きながら、託生を探している。








もう、この世界にいないのだと・・・

思いたくない、


俺の気持ちを理解してくれて・・・・。






更新日:2017-06-19 14:56:41

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook