〜ピカチュウ目線〜

ある日の朝｡

｢う〜ん｡快晴になったわね｣

｢そうですね｡あの雨はなんだったんでしょうか…｣

｢セレナ…お兄ちゃん…おはよう…｣

｢ピカピカ…｣

｢ピカチュウ､ユリーカおはよう｣

｢おはよう｣

皆が挨拶していく中で僕は何かが足りない気がしていた…｡

そう…いつもなら…もう1人…｡


『おはよう』

そう言って僕の頭を撫でてくれる相棒が居た筈…｡

それなのに…｡

｢あれ?サトシは?｣

｢ユリーカが起きた時は居なかったよ?｣

｢どこ行っちゃったのかしら…｣


｢そういえば､こんな紙があったよ?｣


｢置き手紙…みたいですね｣


置き手紙…つまりサトシが僕たちにメッセージを残したって事…｡

でも何故か嫌な予感しかしなかった…｡

何でだろう…｡


置き手紙があるって事は何か理由があって、僕たちの元を一時期だけ離れるって事なのに…｡

長年一緒に居るからか､僕には何かが違うような気がした｡

頭の中で警鐘が鳴っていたから｡

いつも警鐘が鳴る時はサトシが危ない時だけだから…｡

｢えっと…｣

｢[野暮用で離れるけど､先に次の町に行っててくれ…｡後で追う｡何かあった時の為にピカチュウは預けとく｡ロケット団が来てもピカチュウが居れば大丈夫だ｡安心してくれ…サトシ]…ですか…｣

｢野暮用って?｣

｢ユリーカ達に内緒なのかな?｣

違う…いくら何か用事があっても仲間に何も言わずに行くような相棒じゃない｡

｢…ピカピ｣


どこにいるの?サトシ…｡

僕は野暮用って言葉じゃ…騙されないからね?…本当は何かあったんでしょ?

僕らにも言えない何かが…｡

ねぇ…僕らの気持ち…分からない程バカじゃないよね?

僕の一番大切な相棒…サトシ?