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8月の弘前駅前は人で混雑していた。一人旅を始めて2カ月あまりが経とうとしていた。今日の弘前はねぶた祭りの祭典のただ中にあった。
昨日まで私は山形にいた。山形県を5日程徘徊して、このねぶた祭りのために青森に来たのであるが、
考えが甘かった。その日に青森に着いてホテルを探したが、どこも満室だった。
そこで青森でねぶたを見るのを諦めて、弘前に移動したのだ。弘前に着いたのは夕方4時頃。
弘前も青森も同じこと宿はやはり最後まで取れなかった、私はねぶたを拝見した後、夜通し弘前の街を歩き回った。
どこか公園の芝生にでも寝転がって野宿でもしようと思ったが、思った以上に東北の真夏の夜の気温は低かった。
ジッとしていると凍えそうになった。私は結局、弘前の光のあるところを夜通し歩く羽目になった。

明け方の午前4時。私は弘前駅に入って構内のベンチに座って電車が動き始めるのを待っていた。
ウトウトとして、30分くらい寝ていただろうか?隣に1人の女の子が座っていた。
私はその子をチラと一瞥して、再び目を閉じた。それから数分後、目を開けるとその子はまだベンチに座っていた。
私はその子を見ると、女の子はこちらを向いて微笑を漏らした。
「始発待ちですか?」
「始発・・・そう・・・よく寝れた?」女の子は再び微笑した。
「ええ、あまり・・・昨日ホテルが取れなくて寝てないんですよ」
「・・・ホテル、空いてなかっよねw」
「え?」
「私昨日コンビニで過ごしたの」

更新日:2015-12-10 19:07:53

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