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「ブーブブ姉さんがたまにはみんなで集まろうと言い出してな」
 わざわざ迎えに来たのだと言うが、独裁的な姉の命令は絶対なので拉致するつもりで来た、と兄弟揃って本音を吐露し、ブーブブの性格は先刻承知の破天荒は特に気にせず返した。
「断りはしませんけど、電話くらいくれればいいのに」
 それはいきなり過ぎて予定が狂うせいだが、電話番号なんか聞いていない、とボーボボが答えるので呆れ半ばに返した。
「番号案内で調べりゃいいだろ」
「そんなもんの存在なんかすっかり忘れてた」
 社会の枠組みの外に生きていると文明的で便利なサービスを忘れてしまう気持ちは解るので不問にし、行くにしても親分の許可を貰わなければならないので返事はそれからになると答えると、壁際に積み上げられている薪を眺めていたベーベベが会話に無関係に訊ねた。
「薪なんか何に使うんだ?」
「風呂を沸かしたり飯を炊いたりです」
 電気もガスも通っているが首領パッチが好むので首領パッチが居る間は薪を使う事になっていて、力仕事はなるべくやるようにしている破天荒は薪を四つに割る作業だけでも終わらせてしまおうと頑張っている最中だったのだった。
「これ全部お前がやったの?」
「細かく割るのはコパッチアニキも手伝ってくれてます。やりながら話しても良いですか?」
 ベーベベが構わないと返事をしたので破天荒は台にしている切り株に薪を立てて斧を振ろうとして、ベーベベとボーボボに注意を促した。
「そこ、破片が飛ぶかも知れないから危ないですよ」
 斧を振り上げ振り下ろすと薪が二つに割れ、割れた片側をまた立ててそれを更に二つに割る作業は破天荒が簡単にやっているのもあって楽しそうで、ベーベベの中の少年心が擽られた。
「ちょっとオレにもやらせろ」
 ベーベベに言われて、今日中に全部やってしまうつもりでいた破天荒は少し迷惑に思うが、少しくらいならしょうがないかと諦めて斧を渡してコツを教えてやり、ベーベベは立てた薪に教わった通り斧を構えて振り下ろすと簡単に真っ二つに割れたので思わず無邪気に快哉を叫んだ。
「やった!」
「上手いですね。流石ベーベベさん」
 破天荒は割れた薪の片割れを拾ってベーベベに渡し、半円になった薪は当然ながら的が小さく、そしてバランスが悪くて上手く立たせるのに手間取り、ベーベベは破天荒に訊いた。
「スネ毛で支えたら駄目なのか?」
「スネ毛が切れても良いんならどうぞ」

更新日:2017-09-13 18:52:37

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