• 14 / 24 ページ
「見たら親のおやびんにバレないように足してみろ。で、もう一枚欲しい時は――」
 よく見ていなかったので足し様がなくて手持ち無沙汰は変わらずにいると、破天荒が掛け声を発した。
「もう一丁!」
 首領パッチが掛け声に応じて山札から一枚自分に、それから一枚を破天荒の張った札に表を向けて置き、ベーベベが同様に発すると首領パッチはもう一枚ベーベベの張った札に同様に置いた。そして首領パッチは自身の為の札を山札から一枚取っての勝負となった。一連の流れを見たボーボボはまるで時代劇の博徒の様な彼らに自分も早くやりたいとワクワクしていると、べーべべが啖呵を切った。
「ボーボボ!目ん玉ひん剥いて良~く見ろ!」
 ベーベベが勢い良く打ち札を捲ると、首領パッチが持ち札を足元に叩き付けて怒鳴った。
「ワカメの癖にやりやがったな!」
「えっ?えっ?どうなったの?」
 状況を把握出来ずにいるボーボボに、破天荒が教えてやった。
「ベーベベさんの三枚を足してみろ。9になるだろ?9は“カブ”と言って一番強い数字だから、7で“ナキ”のおやびんはベーベベさんに負け。で、オレ達はおやびんと同じ7キだから、おやびんはオレ達とは引き分けだ」
 あっさり勝敗が決まってボーボボは呆気なく感じたが、自分達は引き分けなのだからと安心していると首領パッチが飴を取ろうとしたので咄嗟に怒鳴りながら殴りかかった。
「テメーなに取ってんだ!」
 しかし破天荒が素早く間に割って入ったせいで殴れず、首領パッチが破天荒越しに怒鳴り返した。
「引き分けは親の勝ちだって最初に言ってあんだろうが!」
「そんなの聞いてねー!!!!」
「ボーボボ!“ワカレ”が引き分けのかぶ用語だ!」
 破天荒の言葉に、そうだったの?とボーボボは思うが、振り上げた拳の持って行き場は常に首領パッチにしかないのでキレ続けた。
「“ワカレ”じゃ解るか!引き分けって言え!!!」
「解らねんなら聞けやこの三下野郎!!!」
 破天荒が間に入ったままどかないせいで殴り合いが出来ずに互いにキレ合い怒鳴り合い、ベーベベは笑っているだけで全く頼りにならずに破天荒は首領パッチの怒りを解く為に縋るように言った。
「おやびんすいませんでした!ボーボボは初心者なんです!教えてやらなかったオレが悪いんです!どうか許してください!」
「ウルセー負け犬コンビ!土下座して詫びろ!」

更新日:2017-09-13 19:44:33

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook