• 5 / 14 ページ

いつもの様に五人で、大学の門を出ようとした時だった。
ピタリと立ち止まった人物に、俺たちは視線を向けた。

「二宮くん、デートしようか?」

驚いたのは俺だけじゃなかった。
まあくんも、潤くんも驚いていた。
そして大野さんが、俺と櫻井さんの間に割って入った。

「翔ちゃん、何考えてる?」

大野さんの背中に守られて、大野さんの表情は見えない。
でも大野さんが櫻井さんに、こんな警戒心を見せるのは初めてだ。
どうして?

「何も・・・言葉通りの意味だよ」

大野さんの背中越しに見れば、いつもの櫻井さんの穏やかな笑顔。

「ダメだ。俺も一緒ならいい」

「智くん、俺は二宮くんに言ってる」

大野さんは部外者だと伝える櫻井さんに、大野さんは返事しなかった。
俺は大野さんの手を握った。

「ニノ?」

振り向いた大野さんは不安、って顔を隠そうとしない。

「櫻井さん、デートしましょう」

「ニノ!」

「大野さん、俺は大丈夫」

どうして大野さんが不安なのか、わからないけど。
大野さんの顔を見ながら安心させる様に言った。

「ニノ」

大野さんは俺にちゅ、とキスをした。

「何かあったら、俺を呼べ」

「うん」

櫻井さんが俺を見て、大学に向かってゆっくりと歩き出す。
俺も歩き出そうとして、潤くんに腕を掴まれた。
不安そうな潤くんの顔。
その手はすぐに離されたけれど。
潤くんも、何か心配な事があるんだろうか?
俺は気を引き締めて、櫻井さんの後を追った。

更新日:2016-01-24 22:55:59

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook