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「ニノ、丸くなった?」

俺は、まあくんを睨む。

「な、何?」

「なんでもないです」

やっぱり、太ったのかな?
お腹をさすってみる。
気にした事は、なかったけど。

「お腹、空いた?」

見当違いな方向にいってるまあくんだけど、俺の心配をしているのだけはわかってる。

「ううん、ね、俺、太った?」

まあくんは不思議そうな顔をした。

「そんな事ないと思うけど」

「俺の事、丸くなったって」

まあくんは目を瞬かせた。


「それは違うよ。ニノの雰囲気が、ね。ちょっと丸くなったな、って」

「ふうん」

「おーちゃんのおかげだね」

丸くなったかもわからない。
あの人のおかげかもわからない。
あの人が好きなのかもわからない。
わからない事だらけの俺は、見るともなしに大野さんと櫻井さんを見ていた。

「ほら、智くん」

「ん」

大野さんのジャケットの襟を直してる櫻井さん。
それが当然のように身を任せてる大野さん。
長年連れ添ってる夫婦みたいな印象の二人。
櫻井さんの瞳が優しげで、何故か俺が苦しくなる。
ふと、櫻井さんがこちらを向いた。
俺は目をそらす。

「ニノ」

無邪気に俺に抱きついてきた大野さん越しに櫻井さんに目を向けた。
その瞳を見た途端に身体が震えた。

「ニノ?」

俺の変化に気づいた大野さんが俺を見た。

「え?あ」

「どうした?寒いのか?」

大野さんが俺の頬を触りながら、顔を近づけた。

「俺だけ、見てろ」

「大野さん・・・」

大野さんはわかってるんだろうか?
櫻井さんの視線が気になってる俺は、落ち着かなくて。
それなのに。

「あったかく、なるだろ?」

大野さんの瞳がキラキラと潤んでいた。

「なるだろ?」

大野さんの唇が、俺の唇に触れそうなくらい近い。
なんでこんな時にこの人は!
俺は大野さんを引き離す。

「ニノ?」

「ここまでです!」

大野さんは頬を膨らませた。

「ちぇ、もうちょっとで、ちゅーできたのに」

ブツブツ言ってる大野さんを、ため息をつきながら見つめる。
櫻井さんのあの時の瞳が、俺の心の中に重石のように沈んでいって。
櫻井さんを見れなかった。

更新日:2016-01-09 22:01:38

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