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頭に鍵を何本もぶっ刺されてオドオドしている天の助、と言う不思議な光景があり、軽々しく“殺す”と口に出す割には滅多に殴りもしない破天荒が戦いの場以外で暴力を振るうのはとても珍しく、そして誰もが乱雑に扱うヤッくんの取り扱いが丁寧なところに“流石は破天荒”と一同感心させられていると、破天荒が首領パッチを抱き上げて立ち上がった。
「おやびんに新鮮な空気を吸わせて来る」
「パッチンが心配だから、ポコミも行く」
「来んな」
 10歳児にも容赦のない破天荒の塩対応だが、ポコミはナメ郎で慣れているので全く気にせずに後を付いて行こうとし、それをビュティが止めた。
「二人っきりにしてあげよ?」
 破天荒がどれだけ首領パッチを慕い大切に思っているか、目の当たりにし続けていたビュティには彼の辛い気持ちが良く解った。
「破天荒さんに取って首領パッチ君は、命の恩人でもあるのよ」
「知らなかった……!」
 天の助は目を見開いて愕然とし、床に崩折れて苦悩し自分を責め続けているとボーボボが慰めた。
「まあ、首領パッチだから大丈夫だろう」
 ボーボボはそう言って慰めた次の瞬間に、油断する天の助に鼻毛真拳でお仕置きをした。
「破天荒の心の痛みを思い知れ!!!」
「ギャーーー!!!」
 天の助の叫び声が宿舎の外まで響く中、宿舎から少し離れた丘の上で破天荒は首領パッチを横たえると隣に座って容態を見守った。新鮮な空気を取り入れて血中濃度が薄まって行き、はっきりとした幻覚が夢現の朧気な物となって行く首領パッチは目を見開いてリズムに乗って叫ぶと同時に覚醒した。
「えーーいこーーーぅおーー!!」
「おやびん!」
「やったわ私センターよ!」
 喜ぶ破天荒に首領パッチは飛び付き掴み掛かり、そして頭が割れるように痛んでそのまま頭を抱えてうずくまりながらまた叫んだ。
「頭いてーーーっ!」
「大丈夫ですかおやびん!?」
 破天荒の差し出すミネラルウォーターを受け取らずに首領パッチは呟くようにねだった。
「コーラ」
「今は駄目です」
 蓋を開けて渡されたミネラルウォーターを首領パッチは渋々受け取り、ガブガブと飲み干して一息吐くとまたねだった。
「コーラ」
「駄目ですって。これだけは聞けません。我慢してください」
 珍しく破天荒が厳しい姿勢でいるので首領パッチは諦め、瞳を涙で潤ませながら何ともなくて良かったと言う破天荒を大袈裟だと思うが、

更新日:2015-11-03 12:11:04

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