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第8話 : 1週間前⑥ ~YH side

電気を消して布団に入ると、あとは寝るしかないのだが、隣の布団にジェジュンが寝ていると思うと、そわそわして寝付けそうにない。

「ねえ、ユノ」
やはりまだ寝付いていなかったらしく、ジェジュンが隣から呼び掛けて来た。
「まだ起きてる?」
そう言う声が少し大きいような気がして、
「起きてるけど…もう少し小さい声で話さないと兵長が起きちゃうよ」
と言うと、ジェジュンは布団の端ギリギリまで俺の方へ体をずらし、顔をこちらに向けると「これなら小さい声でも聞こえる」と言った。
誘ってる?と一瞬期待したが、ジェジュンは特には意識していないようで、それどころか、
「積もる話って、どこから話せばいいのかな?やっぱり…2009年から?」
と、いきなり直球を投げて来た。

やはり、そこは避けては通れない事だ。
だけど、いつかジェジュンに会ったらどう話そうかと何度も何度も考えて来たけれど、答えはまだ出なくて…。

「ユノは真面目だね」とジェジュンは言った。
「俺もそう。だから、まだ保留じゃダメかな?やっと会えたからって慌ててその話をして、また誤解したりしてもイヤだし。これから仲良くしているうちに、少しずつ答えが出るかなって。それで許されるかな?」
「…そうだね」

あれから6歳大人になったからと言って、再会したばかりでいきなり改めて話をして何かが出るとも思えなかった。
正直に言うと、こうしてジェジュンと会えたからもういいか、という気にもなっていたのだが、それで済ませるには誰もが辛い思いをし過ぎた。
ジェジュンも、許しを請うような話でもないのに「許されるかな?」なんて言い方をしていて…心中は計り知れない。
色々な事をいつまでも曖昧にはしておけないだろうし。

「…まずは仲良くするのが先決だな」
そう言って、俺はジェジュンの方に身を乗り出した。
そして、ジェジュンの唇に軽くキスをした。
ジェジュンの感触がして、もう少し味わいたかったけれど、兵長の隣でそう大胆な事も出来ない。
「おやすみ」と、今度は頬に口付けると自分の布団に戻って目を閉じた。
まずは俺とジェジュンが「仲良く」しないと始まらない!

更新日:2015-11-03 21:22:00

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