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第5話 : 1週間前③ ~YH side

訓練所を修了すると、すぐにMCを中心とした仕事が幾つか入って来た。
行く先々で歓迎してもらえたし、パフォーマンスをする機会もあって、軍隊もなかなか楽しい、と思い始めたところに、今度は陸軍フェスティバルのメインMCという大きな仕事が舞い込んで来た。
喜んで進行表を受け取ると、そこにジェジュンの名前があった。
主に隣の会場での出演らしいが、開幕式…俺がMCをする開幕式にも名前がある。
動揺を悟られたくなくて、トイレに駆け込むと、まじまじと洗面台の鏡に自分の顔を映してみた。
大丈夫、最近少し太り気味だったけれど、入隊してから体が絞れて来て、十分いい男だ。
勿論ジェジュンは、どんなユノでも好きだと言ってくれるだろうけど。
…と、そこまで考えて、待てよ、俺達さよならも言わずに離れてから6年も経つ関係じゃないか、そうすんなり行くかいな?と思い直して落ち込んだり。
後日、実はジェジュンも同じ事をしていたと本人から聞かされ、2人で笑い合ったものだが、この時はそんな事は知る由もない。
(でも、まあ、行ってみないと2人で話したり出来る環境かどうかも分からないしな)
と思って心を落ち着かせていたが、なんとケリョンデではジェジュンと同室だとか。
しかも、それを聞かされたのは、ケリョンデ行きの車中だったのだから!
ジェジュンに会ったら最初にどんな甘い言葉を掛けようか、とあれこれ考えているうちに、車はケリョンデに到着し、既に甘い言葉のサンプルで頭がいっぱいになった俺は、まるで2〜3時間ぶっ通しのMC+パフォーマンス3曲程をこなした直後のように、すっかりくたびれていた。

更新日:2015-10-31 21:36:58

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