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幾ら憎い魚雷ガールとは言っても彼女がいなければ修行にならないので破天荒は水中に潜ると魚雷ガールの位置を目視で確認し、彼女に向かって力強く水を掻いて潜水して行った。気絶している魚雷ガールに追い付き、脇に抱えて急浮上し、水面に出ると大漁旗を振っているボーボボと天の助がまず目に入って破天荒はムカムカしながら岸に上がって魚雷ガールをビュティとポコミに任せた。首領パッチと目が合い、首領パッチが微笑みかけて来るが、触れたくても触れられない甘えたくても甘えられない今の状態ではその笑顔を見る事すら辛くて破天荒は目を逸らし、首領パッチは初めて見る破天荒の反応に戸惑いを覚えた。そして二人の間に流れる微妙な空気に天の助が呟いた。
「ナニコレ」
 少し離れた場所で破天荒がマフラーと濡れて重くなったジャケットを脱いで水を搾る様子を首領パッチは見ているとまた目が合い、また目を逸らされたので首領パッチは破天荒の傍に行って労いの言葉を掛けた。
「ご苦労さん。あんだけやられてた魚雷を助けるなんて、いいとこあんじゃねーか」
「……ギョラ公がいなきゃ、修行にならないからってだけです。たく、魚雷の癖に溺れんなっつーの」
 不機嫌そうに言う破天荒の顔には少しの照れが見えて、目を逸らされたのは何だったのだろうかと思うが機嫌が悪い訳ではない事が解って首領パッチは安堵した。
「おやびん」
 思い詰めた様な表情での呼び掛けに、首領パッチは笑みを崩さずに彼の言葉の続きを待った。
「トゲ触っても、良いですか?」
「ああ。良いぜ」
 微笑んで返事をし、トゲに触れるとそれだけで破天荒がいつも自分に見せて来る素直で無邪気な笑顔になったので、首領パッチは嬉しくなった。
「だからナニコレ」
 またまた微妙な雰囲気を察知した天の助の呟く声に被って、ビュティとポコミの動揺する声が響いた。
「魚雷さんが息してない!」
「どうしよう!」
「そりゃもう人工呼吸しかないでしょ」
 天の助の常識的だが無責任な提案に、ボーボボがリーダーシップを発揮した。
「待てお前達!魚雷先生は面食いだから我々がする訳にはいかん!よって破天荒、お前が行け!!」
「殺印付いたらどうすんだボケッ!!」
 当然ながら破天荒は拒否をしたが、ボーボボのリーダーシップは止まらない。
「万が一そうなっても今のお前ならOVER戦のオレ達みたいに剥がせる!大丈夫だ!!」
 ハジケに関しては分を弁えている破天荒はソレまだ絶対無理と拒否の姿勢を崩さずにボーボボと互いの頭を魚雷ガールに向けて押さえつけ合う攻防を繰り広げていると、首領パッチが魚雷ガールの腹部に全体重をかけたエルボードロップを炸裂させた。
「食らえー!!!!肉弾エルボードロップ!!!!」
「ギョラッ!」

更新日:2019-02-05 22:43:36

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