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「おい、そこのバカ。お前は特別補習だ」
 魚雷ガールの指名に破天荒は、また俺だけかよ、とイラムカッとするが、必死に平常心を保って天の助のアドバイス通りに魚雷ガールを愛しのおやびんと思い込んで返事をした。
「へい、ぉ…魚雷…先生!愛の鞭、ありがたくいただきます!」
 破天荒の凛々しい顔と腹の底から出される雄々しい声はイケメンの面目躍如で、魚雷ガールは過ぎ去りし恋を思い出した。しかしそれは一瞬だった為に魚雷ガールは気にせず、この数週間の魚雷修行で改心の兆しが見えて来た確信の方こそを強く感じて、破天荒の手足を繋ぐ鎖を鉄球を躱わす事が可能な長さに変えた。そしてトゲ付き鉄球を山盛り積んだ自動投球機を魚雷ガールは片付け、それを見た破天荒はギョッとして怒鳴りそうになったが、彼女はおやびんだと自分に言い聞かせてグッと堪えて黙っていると、魚雷ガールが眉尻を下げた。
「私だって、憎くてやってた訳じゃないのよ。何故ならあんたの欠点は――」
 魚雷ガールの話を聞いてこの拷問にも一応意味があった事を破天荒は知るが、手足を少しも動かせないくらいにギチギチに拘束されていては全く無意味だったので矢張りムカ付いた。そしてトゲ付き鉄球の使用は変わらなかったが、急に軟化した魚雷ガールの態度をおやびんにする様に礼儀正しく行儀良くしたのが効いたのだろうとだけ思った。

更新日:2017-08-18 11:45:21

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