「こら！明、起きろ！」
「後…少し…寝かせて…。」
「乗艦の日だろうが。」
「あ…！」
慌てて起きる明。
「急いで支度しなかゃ！」
「キチンと朝飯食って行けよ。」
「わかってるよ！」
「制服はソファの上だ。」
「あ…。ありがと…。」
真鍋達にも着せてやりたかった…。
「久しぶりに見るな。お前のパイロットスーツ姿。」
「ちょっと緩いかも…。」
「痩せたか？」
「うん…。」
「朝飯。」
「うん。」
「しばらく２人で食べることはないな…。」
「…そうだね…。」
「明がいないと、俺はまた朝飯抜きの生活に戻るかもな。」
「ダメだよ、それは。僕がいなくてもキチンと食べること！」
「わかりました。奥様。」
「もう…。」
「明…。」
「ん？」
「氷室と違って、俺は結婚式とかはやらないと言ったけどさ。」
「うん。」
「記念写真ぐらい撮ろうか？」
「え…？」
「何だよ、その『え…？』ってのは。」
「まさか…また女装するの？」
「当然！」
「やだよ。コルセット苦しいもん…。」
「そこかよ。女装自体はオッケ〜と聞こえるな。」
「女装もヤダ。」
「純白のウエディングドレスを着せたい。お前に。」
「拓也みたいなこと、言わないでよ…。」
「氷室はよくて、俺はダメというのか？」
「そうは言わないけど…。」
「はい決まり。帰還したら記念写真だ。夫婦のな。」
「はぁ…。」
「ほら、早く朝飯食って出発だ。」
「はい…。」


「明！出発するぞ！」
「…。」
「どうした？」
「この部屋とも暫くの間、お別れだなって…。」
「そうだな…。」
「必ず…戻るから…。」
「訓練航海だろ？」
「そうでした。」
「行くぞ。」


エアカーで港へ向かう２人。
「おっ！見えてきた。接舷してるな。」
「そうだね…。」
「元気ないな？どうしたんだ？」
「別に…。」
「不安になってきたか？今の自分の体で参加できるのか？って。」
「…。」
「俺の秘蔵っ子だ。やるときはやるさ。」
「和男…。」
「俺はそう育てたつもりだし。」
「うん…。」

「着いたぞ。」
「ヤマトだ…。」
「あぁ。」
タラップに近づくと、加藤とパトリックが出迎えていた。
「明！」
「加藤…、パット…。」
「お帰り、明。副長殿。」
「ありがと…。」
「菊田部長。」
「頼むな、明のこと。まだ完全じゃない。」
「はい。」
菊田に向かい加藤は敬礼をした。
「今日は休暇だ。固い挨拶はいいよ。」
「上官ですので。」