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「ありがとう…。」
「抜錨まで4日か…。」
「前日に乗艦するから…。」
「え…?」
「ヤマトのクルーは前日には全員乗艦するみたいだから。」
「でも…抜錨まで回復に努めろと言われたじゃないか?」
「僕はヤマトのクルーだから。皆と同じように前日には乗艦したい。」
「明…。」
「1日位じゃ、何も変わらないよ…。」
「そうかもな…。」
「だから…和男とは後3日でお別れ…。」
「永遠の別れみたいに言うなよ。」
「そんなつもりは…。訓練航海だから。大丈夫だよ。心配しないで。」
「心配だよ。無茶しないかってね。」
「まだ体が完全に治ってないのは自分でも解ってるから。」
「だったら…。」
「だったら?」
「行くな…。」
「和男?」
「今回は不参加にしろ!行くな!明!」
「どうしたの?」
明を抱きしめる菊田。
「行くな…。今回ばかりは…。行くんじゃない…。俺の傍にいろ…。」
「どうしちゃったの?和男…。」
「手放したくない。」
「だって…和男がくれた誕生日プレゼントでしょ…?」
「誕生日プレゼントは他に見繕ってやる。だから行くな。行かないでくれ。心配でたまらない。」
「大丈夫だよ?無理はしないつもりだし。ちゃんと杖もついて歩くよ?」
「そんなことは、どうでもいい!行くな!明!」
「和男…。どうして…?」
「行かないでくれ。頼むから。」
「そんな…。」
「明…。」
菊田は明を抱きかかえるとベッドへ寝かせ、覆い被さった。
「や…!」
「愛してる、愛してる、明。俺の宝物。どこにも行くな。ずっと俺の傍にいろ。」
明のパジャマを強引に脱がせ、体を愛撫する菊田。
「や…んっ…あぅ…。」
「明…。」
激しい口づけ。
「んっ!うっ!」
「明、頼むから行かないでくれ…。」
菊田の目から涙が零れ落ち、明の頬を濡らした。
「和男…。」
「心配で…たまらない…。不安で…どうしようもない…。」
こんな和男、初めて見た…。一体どうしちゃったの…?
「あぅ…っ…く…ん…。」
「どうしても行くというなら、明、お前を拘束する。」
「か…ず…お…んっ…。」
「愛してるんだ。お前を。心底。どこにも行かせたくない。」
「ぼ…僕は…ヤマトの…。」
「言うなっ!」
「僕は…ヤマトの…クルー…だ…。」
「明…。」
愛撫をやめ、明の体にグッタリと覆い被さる菊田。
「和男…?大丈夫??」
「まだ…完治してないのに…。」
「ん…。」
「まだ…ボロボロの…体…なのに…。」
「ん…。」

更新日:2015-11-09 17:53:41

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旅立ちまでの一瞬(ひととき)