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「入っていいぞ、パトリック!」
「失礼しますよ!」
「悪いな、パトリック。すっかり忘れていたよ。辞令のこと。」
「酷いです!私は昨日、朝と夜の9時にここへ来たのです!」
「悪い、悪い。」
「でも、菊田は9時にここへ来なかった。」
「ちょっと違う場所へ行ってたからな。」
「私は建物の中をさまよい歩いたのですよ?菊田を探して。」
「悪かったな。明に気がいっていて、お前さんのこと、すっかり忘れてた。」
「明がどうかしたのですか?」
「ちょっとな…。真実を受け止められないでいる。」
「真実?」
「パトリックには関係のない話だ。」
「関係なくありません!私は明を愛しているのですから。」
「おい…。パトリック・ジェームズ・マッグリン。ふざけたことを言うな。」
「私が誰を好きになろうが、勝手です。私は明が好きです。愛してます。」
「パトリックーっ!」
「ねぇ…。」
ボソッと明が呟いた。
「あ…明。悪い。お前の存在を一瞬無視していた。」
「Oh! 明。Sorry.」
「僕はオモチャじゃないんだから、取り合いみたいの、やめてくれる?」
「この外来種が明のことを愛してるなどと言うからだ!」
「私を害虫呼ばわりしないで下さい!菊田!」
「上官を呼び捨てにするな!外来種が!」
「菊田は私の直接の上官ではありません!」
「今は上官だ!ヤマトに乗艦するんじゃないのか?ヤマトの航空隊は俺の指揮下にある。」
「うっ…。菊田が上官…。耐えられない…。」
「嫌ならヤマトから降りるんだな。」
「No! 私は明と飛ぶ!」
「パット…。まだ乗艦できるか、わからないんだよ?僕…。」
「体、まだダメですか?」
「幻覚が見えるんだ…。」
「hallucination?」
「死んでいった上司や部下が苦しんでいる姿が見えるんだよ…。」
「辛い思いをしたのですね…。明…。」
「うん…。」
「What’s wrong?」
「何て言ったの?パット。」
「大丈夫?と言いました。」
「うん…。受け止めなきゃね…。じゃないとヤマトに乗れない…。」
「明…。傷ついているのですね…。heartが。」
「大丈夫だから。」
「明。眼帯しておけ。」
「うん…。」
「なぜ目を隠すのですか?」
「僕の左目は緋眼なんだ…。その緋眼が幻覚を見せる。だから眼帯で封印しているんだよ…。」
「緋眼?」
「red eyeかな?」
「赤い…目…ですか?」
「うん…。」
「初めて知りました。」
「そう?」

更新日:2015-11-03 04:17:44

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旅立ちまでの一瞬(ひととき)