「ここでいいか？」
菊田はエアカーを港に停めた。
「うん。ありがとう。」
「ずっと港にいるつもりか？」
「どうかな？飽きたらマンションに戻るよ。夕食の支度でもしておくよ。」
「おい。買い物、して帰る気か？」
「そのつもり。」
「大丈夫なのか？」
「ほら、だからナップザックで来たんだ。背負っていけば平気でしょ？」
「そうだが…。バランスを崩したら倒れるぞ！」
「大丈夫だって。信用してくれないかな？」
「心配だ。」
「いつまでも甘やかさないでくれる？７日後にはヤマトに乗艦して出発するんだから。」
「明…。」
「いってらっしゃい、和男。夜会おうね？」


「ヤッパリ戦艦は海が似合うなぁ。」
ヤマトを見つめる明。
７日後には僕も乗艦するんだ…。
明は空を見上げた。
「コスモタイガーだ…。」
あの後、加藤のヤツ、マックス出して飛んでみたって言ってたな。特に問題はなかったって。訓練航海だし、隊員達は卒業生ばかりだから、マックスで飛ぶことはないだろうけど。
そういえば…月面基地に残してきた真鍋達はどうしているんだろう？今回の訓練航海に乗艦させたかったのに。
和男に聞いてみようか？月面基地はどうなっているのか…。
携帯を取り出す明。
「あ、和男？僕。」
『どうした？」
「あのね、月面基地ってどうなったのか知りたくて。」
「月面基地か…。」
「どうなった？真鍋達は？」
「今からコッチへ来い、明。」
「え？」
「電話で話せる内容でもないからな。」
「和男…？一体…？」
「ゆっくり歩いて来れば、昼頃には着くだろ？昼飯、一緒に食べよう。」
「う…ん…。」
「待ってるよ、明。あ、今日は氷室は休ませた。紫原の件でショックを受けているだろうから。」
「そう…。」
「じゃあな。昼目指して来いよ？」
「…。」
電話で話せる内容じゃないって…。何…？
そういえば、晴れの海基地の隊員はヤマトに乗艦していた。テスト飛行していたっけ。何であけの海基地の隊員はいない？


「山本明二尉です。入ります。」
菊田のオフィスへ入る明。
「お昼ピッタリだな。食堂行くか。」
「ねぇ、和男。月面基地は？」
「昼飯食ったら話す。」
「どうかしたの？あけの海基地。晴れの海基地の隊員はヤマトに乗艦して、テスト飛行してた。何であけの海基地の隊員はいないの？」
「昼飯食ったらな。」
「和男！」
「いい子だから、言うこと聞いてくれ、明。」
「何か…あった…？」
「後でな。」