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7日前

「おはよ。和男。」
「おっ!起こされる前に目覚めるとは珍しいな。」
「ヤマト乗艦7日前だから。キチンとしないとね…。」
「まだ退院して3日しか経ってないんだぞ?」
「そうだけど…。ヤマト乗艦7日前だから、今日。」
「ヤッパリ参加させるべきじゃなかったかな?こんなに早く俺の手元から離れて行ってしまうなんてな。」
「訓練航海だから。直ぐ戻って来るよ。」
「杖…取れないか?」
「無くても歩ける。でも、バランスを崩しやすいかな?」
「足もだが、身体の細かい骨折やヒビだって治ったわけじゃないんだ。キツいぞ。コスモタイガーに乗ることは。」
「わかってる。それでも乗艦したい。」
「離れたくないって、ベソかいてなかったか?」
「そうだね…。本心は和男と離れたくないよ。でも、僕は軍人だから。ヤマトのコスモタイガー隊のパイロットだから。」
「副長でもあるしな?」
「うん…。」
「待ってるよ。」
「ありがとう。」
「朝飯にしますか?副長。」
「はい。部長。」
「クククッ!笑えるな。お互いの役職で呼び合うと。ヤッパリ明は明だ。」
「僕もヤッパリ和男のがいいや。」
「食べたら俺は出掛けるが…。明はどうする?」
「どうしようかな?またヤマト見に行こうかな?港へ。」
「飽きないのか?」
「全然。」
「早く乗艦したいか?」
「そうだね…。」
「佐渡先生から、抜錨ギリギリまで回復に努めるよう言われているからな。」
「うん…。」
「俺だって、佐渡先生の言い付け守って、お前を抱くの我慢してるんだからな。」
「昨日抱いたじゃん。オフィスで。」
「お前が欲求不満気味な顔をしていたからだよ。」
「僕のせいにする…。」
「挿れて下さい、ズブズブして下さいって哀願したのは誰だっけな?」
「うっ…。」
「今晩あたり思いっきり抱くかな?」
「回復に努めるんじゃなかった?」
「お前が目の前にいなきゃ、いくらでも我慢できるんだがな。目の前にすると理性が保たない。」
「今晩抱くって本気で言ってる?」
「帰宅した時の気分次第だ。」
「僕は構わない…。骨が砕けても…。和男が抱きたいなら…。」
「乗艦前の人間の骨を砕けるか?バカたれ。」
「抱いて欲しい。」
「明…。どうした?」
「貴男の温もり無しでは生きていけない。」
「明…。」
「旅立つ前に、貴男の温もりを感じたい。」
「困った子だよ、お前は。」
「わかってる…。和男を困らせてるって。」
「港まで送る。支度しておきな。」

更新日:2015-10-25 16:28:23

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旅立ちまでの一瞬(ひととき)