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「わかった。じゃ、後でね。」
ヤマトが見える。皆いるのかな?
明が沖を見つめていると、コスモタイガーが低空飛行で明の頭上を通り過ぎた。
「あれが、新コスモタイガーか…。」
ノーズとテールは全てオレンジ色に統一されたみたいだ…。
「飛びたいな…。」
黙って沖を見つめる明。
「何を見ているのですか?」
「えっ?」
外人?ハーフ?
「沖に碇泊している戦艦を見ていました。」
「戦艦は好きですか?」
「どうかな?戦艦より艦載機のが好きです。」
「あぁ、今上空を通り過ぎた?」
「ええ。」
「私はパトリック。パットで構わない。貴男は?」
「僕は明。山本明。」
「明…素敵な響きだ。」
「パットさんは何をしていたんですか?」
「パットで構わないよ。戦艦を見に来ました。日本の戦艦、ヤマトを。」
「僕と一緒だ。僕もヤマトを見に来たんです。」
「美しい。まさしく日本の戦艦です、ヤマトは。」
「美しい?僕はいつも一緒だったから。よくわからないな。」
「いつも一緒?明はヤマトのクルーなのですか?」
「そう…。今は負傷して療養中だけどね。」
「ヤマトには乗らないのですか?」
「来週、乗艦する。」
「明、貴男はさっき艦載機が好きといいましたが。もしかしてパイロットなのですか。」
「そうだよ…。」
「奇遇です。私もパイロットです。」
「パットも?」
「アメリカ支部から日本に来ました。パイロットとして。」
「どこの部隊?」
「さぁ?まだ教えられていません。せっかくだからヤマトを見て来たらと言われて。」
「ふ〜ん。」
和男は何も言ってなかった。和男が知らないってことはヤマトに乗艦するんじゃないんだろうな。
「僕はこれから元いた部隊に行くんですけど…。パットはどうする?」
「明と離れたくないな。」
「え…。」
「日本に、こんな美しい男性がいたなんて。来て良かった。明、I love you.」
「アイ ラブ ユー?」
「私と付き合って下さい、明。」
「はい?」
「明について行きます。」
「ちょ…ちょっと!」
「あぁ…。いけない。日本の司令本部に呼ばれていたんだ。」
「そうなんだ。じゃあ、お別れだね。」
「No!明、連絡先を教えて下さい。」
「え…?」
「ダメですか?」
「だって…今日初めて会ったのに…。」
「ダメですか。」
「司令本部に行くんだよね?」
「Yes.そうです。」
「僕も後で行くから。会えるかもね?」
「Oh!明も来るのですね。」
「うん。」

更新日:2015-10-19 20:56:49

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旅立ちまでの一瞬(ひととき)