「こら、明、起きろ。」
「ん…んんーっ…。もう朝…？」
「そういうことだ。」
「服、着なきゃ。」
「やっと全裸をやめる気になったか。」
「寒かったから。」
「温めてやったろ？」
「途中から寒かった。」
「あ…。」
寝返り打って…明、放り出しちまったんだ。
「食事？」
「あぁ。変わり映えしなくて悪いがな。トーストと目玉焼きだ。」
「いいよ。和男の作る物は何でも美味しいから。」
「そう言ってもらえると有り難い。」
「僕、今日どうしよう？」
「散歩にでも出てみたらどうだ？」
「いいの？」
「リハビリも兼ねてな。」
「ありがとう。」
「港へ行ってみな。沖にヤマトが碇泊している。」
「ヤマトが？」
「あぁ。」
「行ってみる！」
「無理はするなよ？」
「うん。」
「歩けるようなら、本部まで来い。」
「本部まで？和男のとこ？」
「あぁ。尾形がうるさくてな。明君はどうなんだ？ってな。元気になった姿を見せてやりたい。」
「わかった。必ず行くから。」
「無理しなくていいからな。しんどいと思ったら、マンションに帰れ。尾形には別の機会に会えばいい。」
「うん。」
ヤマトが…いるんだ。沖に碇泊してるってことは…あれ？第２格納庫は開かない？コスモタイガー隊は、どこで練習をしているんだろう？
「和男。」
「ん？」
「第２格納庫は開かない。コスモタイガー隊は何処で練習してるの？」
「一番近い部隊の基地じゃないのか？」
「一番近い…７４３部隊？」
「多分な。」
「行ってみてもいい？」
「無理をしないと約束するならな。」
「うん。無理はしないから。７４３部隊、変わっちゃったかな？」
「あぁ。康平やノリは別の部隊に異動した。姫さんと保さんだけしか明が知っている人間はいない。」
「そうなんだ…。」
「これ、持って行け。」
菊田は明の携帯に自分の名刺データを送った。
「何か言われたら、ここへ連絡するように言えよ。直通電話の番号だ。」
「ありがと。前、基地を訪ねた時は、追い返されてしまったから…。」
「俺が、菊田和男が許可しているんだ。入場拒否などさせない。」
「ん…。安心して行ける。」
「無理だけは絶対するなよ？いいな。」
「わかってるよ。」
「一緒に出るか？途中まで送ってやるよ。」
「うん。」

菊田と明はエアカーに乗り、港へ向かった。
「この辺でいいか？」
「ありがとう。ここで平気。」
「無茶するなよ？待ってるからな。無理そうなら一報入れてくれ。」