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神風特攻隊が特攻する意味とは?

 ロディから受け取られた情報……それはアンディ兄さんが討ち死にした事。

「そうか、これで旧帝国……いや、この国でバレラーは私とホイヘンス兄さんだけと成った」

「まさかあのアンディ殿下が!」

「あの男は昔から死にたがっていた。だが、一向に自分に周って来ない事に苛立ちを覚えもした。そんな男が『四天』とやりあって勝てる訳がなかった」

「ですが、私達でさえ苦戦する程の強さですよ」

「だが、サンドロールが居ただろう。法術で癒されでもすれば殺られるのは当然だろう」

「相性の差が勝敗を分けるか。あのアンディ殿下が敗れたと成ればもうホイヘンス殿下は自ら覚悟を……」「ホイヘンス兄さんは初めから覚悟してる……いや、そうするように脚本通り行動するに過ぎない」問題はあの男は動くか否か?

「ホイヘンス殿下について何か知ってる口振りですね……滅多に私心を表さないあの御方を」

「実はあの植物基地の事故だけど……まあそこはホイヘンス兄さんと関係ない事だね」

「何を仰いますの?」

「実はそこで私はルーカスと縁があるのだよ」

「え?」ロディは何か食わされたような顔をする。「何を仰いますの、殿下?」

「今は……私は陛下だ。それまでに呼び方を変更しろ、ロディ」

「はい、出来る限り早く陛下と呼ばせていただきます」ここでロディは話を戻す。「それよりもホイヘンス殿下について何か疑問に思う事は何でしょう?」

「奴はミゲルと繋がる」

「……やはりそうでしたか」

「知っていたのか?」

「ええ、ミゲルの行動理念とホイヘンス殿下の行動理念を少しでも繋げてみたのです。あ、相談役はエクルビィですけど」

「成程、彼女らしい分析力だ」

「どうします?」

「今は放っておけ。それよりもミゲルで思い出したが、奴は『五山』のフジサン……ダリー・ヴィッテルロの恋人を人質に取ったらしいな」

「何ですって?」

「情報は『コードG』……オロスコの何処に居るかわからない恋人をどのように探ったか知らないが、まさか人質に取らせてそれと引き換えに確実に奴に任務を遂行させる気でいるみたいだ」

「あの男め。そこまでの卑劣漢だったとは!」

「何れにせよ、ミゲルは動き出した。奴は今の内にこちらに反旗を翻そうと様々な工作をするだろう……例えばトランゼの首元にナイフを用意する為にある事をしたり」私は植物基地にある区画に目を向ける。「或は同盟関係を結ぶ男と計画実行日を相談し合ったり」

「ではそろそろ私も『四様』を率いてミゲルの粛清に……」「まあ待て」それを控えるように伝える私。

「ですが、あの男が強大に成れば成る程殿下……いえ、陛下に都合が悪くないでしょうか?」

「こちらに刃を向けたなら全力で事に当たれば良い……私を誰だと思ってる?」

「……了解しました」

 序にミゲルがトランゼの首元に向けたナイフだけど、あれはその為に放っておく駒だよ……強大であればある程こちらが手中に収める時にどれだけの暴れ馬に成るか……見物だよ!

更新日:2015-12-03 19:43:52

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二つを彷徨う魂 巻の六 縮む世界