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三者三様 その一

「らーん!」

毛利蘭の親友で同じ帝丹大学に通う鈴木園子が大きく手を振りながら、
蘭の元へ近づいてくる。

「あら、園子! 来てくれたんだね」

長い黒髪を珍しく後ろに一つに束ね、ブルーのエプロンと頭には同色の三角巾をつけた蘭が、
園子に気づいて手を振りかえす。

今日は帝丹大学で開催される学園祭の初日だった。

毛利蘭は自身が所属する帝丹大学の英会話サークルが出店した模擬店で、
料理の腕を見込まれて調理を任されている。

そのため朝早くから大学へやってくると、狭い模擬店内で忙しく働いていた。

「蘭、すっごい盛況だね!」

「やっぱり高校の学園祭とは全然違うよね。
とにかく人が多いし、もう朝から準備に追われて大変だったよ」

お昼も近くになり、どこの模擬店もたくさんの人たちで賑わっている。

ベトナム料理のフォー、メキシコ料理のタコス、中華のチマキ……
三種類のインターナショナルなフードを提供している英会話サークルの模擬店の前にも、
長い列ができているほどだ。

「園子、あと一時間くらいしたら交代して休憩がもらえそうだから、
それまで待っていてくれるかな?」

「ええ、全然大丈夫よ。適当にその辺を見て回ってるわよ。
ところで、ここの模擬店のおススメって何なの?」

「一番人気はタコスね。タコスの有名店からね、頼み込んで……
ハードタコの皮とサルサソースをわざわざ譲ってもらったんだよ。
でも、数に限りがあるから、もう今日の分は売り切れになりそうなんだけど……
園子の分は取っておくね! あとで一緒に食べようよ」

「わあ、蘭、ありがとう! 楽しみにしてるね。
私は構内をひと回りしてくるわ。
じゃあ、蘭、頑張ってね、またあとでね!」

園子は模擬店の前で一旦蘭と別れた。

更新日:2018-03-19 23:46:50

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