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敵対心
「おい工藤、起きろや! こら工藤! ええ加減、目ぇ覚ませや」
工藤新一は何度も肩を揺さぶられ、「うーん、んんー」とくぐもった声をあげると、
ようやく目を開けて突っ伏していた机から身体を起きあがらせる。
「あーん、なんだ、服部か……」
「なんだじゃないわ、工藤! いつまで寝とんのや。
講義はもう終わっとるで」
「はん?」
同じ法学部の一年で探偵仲間でもある服部平次にそう言われ、新一が教室内を見回すと、
講義が終わってだいぶ時間がたつのか、学生でびっしり埋まっていた広い教室内には、
ポツポツと数えられるほどの人影しか残っていなかった。
新一は講義が始まった途端に後方の座席で隠れるように机に突っ伏して眠ってしまった。
さっきとは別人みたいにしゃきっとした声で新一が服部に話かける。
どうやら頭も冴えてきたらしい。
服部の存在に首を傾げる。
「あれ? 服部、なんでいるんだよ。
オメー、この講義、取ってなかったよな?」
「工藤に用があるからに決まっとるやろ。ほい、これや!」
服部が工藤の目の前に真白い封筒を差し出した。
「なんだよ、これ?」
「ちっさいねーちゃんから工藤に渡してくれと預かったもんや」
新一はその一言で封筒の中身がなんであるか理解する。
宮野志保はお金を返してきたに違いない。
彼女の顔を思い出すと同時に、金曜日の出来事が新一の脳裏に鮮やかに蘇った。
金曜日の夜、志保をイタリアンレストランに置き去りにしたまま、
ディナーの途中で店を飛び出し、新一は警視庁へと行ってしまったのだ。
目暮警部に志保から教えてもらった話を一刻も早く聞かせたくて、
わざわざ警視庁の目暮警部の元まで直接出向く。
しかしながら、志保の見解に新一の推理も織り交ぜて目暮警部に報告したところ……
背後に大きな犯罪組織やテロリストが関係してるとなると、事が事だけに、
薬科大学助教授殺人事件は一旦、警視庁の上層部の預かりとなり、
新一の手から離れてしまった。
工藤新一は何度も肩を揺さぶられ、「うーん、んんー」とくぐもった声をあげると、
ようやく目を開けて突っ伏していた机から身体を起きあがらせる。
「あーん、なんだ、服部か……」
「なんだじゃないわ、工藤! いつまで寝とんのや。
講義はもう終わっとるで」
「はん?」
同じ法学部の一年で探偵仲間でもある服部平次にそう言われ、新一が教室内を見回すと、
講義が終わってだいぶ時間がたつのか、学生でびっしり埋まっていた広い教室内には、
ポツポツと数えられるほどの人影しか残っていなかった。
新一は講義が始まった途端に後方の座席で隠れるように机に突っ伏して眠ってしまった。
さっきとは別人みたいにしゃきっとした声で新一が服部に話かける。
どうやら頭も冴えてきたらしい。
服部の存在に首を傾げる。
「あれ? 服部、なんでいるんだよ。
オメー、この講義、取ってなかったよな?」
「工藤に用があるからに決まっとるやろ。ほい、これや!」
服部が工藤の目の前に真白い封筒を差し出した。
「なんだよ、これ?」
「ちっさいねーちゃんから工藤に渡してくれと預かったもんや」
新一はその一言で封筒の中身がなんであるか理解する。
宮野志保はお金を返してきたに違いない。
彼女の顔を思い出すと同時に、金曜日の出来事が新一の脳裏に鮮やかに蘇った。
金曜日の夜、志保をイタリアンレストランに置き去りにしたまま、
ディナーの途中で店を飛び出し、新一は警視庁へと行ってしまったのだ。
目暮警部に志保から教えてもらった話を一刻も早く聞かせたくて、
わざわざ警視庁の目暮警部の元まで直接出向く。
しかしながら、志保の見解に新一の推理も織り交ぜて目暮警部に報告したところ……
背後に大きな犯罪組織やテロリストが関係してるとなると、事が事だけに、
薬科大学助教授殺人事件は一旦、警視庁の上層部の預かりとなり、
新一の手から離れてしまった。
更新日:2018-03-19 23:47:51