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小説

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接近

宮野志保が九月に東都大学に編入してきてから、一か月半が過ぎようとしていた。

十月も下旬に入り、すっかり日が暮れるのも早くなり、学生たちが家路やバイトに急ぐ中──
宮野志保は大学の講義が終わると、東都大学内にある図書館に立ち寄るのが日課だった。

さすが日本で最高峰の大学だけあって、図書館にある書籍や資料なども豊富で充実している。
天才科学者の志保が満足するくらい化学関係の雑誌や原書も取り揃えて置いてある。

マンションで一人暮らしをするようになってから、志保はあまり料理をしなくなっていた。

以前は世話になっていた阿笠博士の健康管理に気を使い、
食事をせっせと作っていたのだが……。

急いでマンションに帰っても誰か待っているわけでもないし、
特に親しく付き合うような大学の友人もいない。

志保の趣味と言ったら研究くらいで、一人で時間を潰すように図書館に立ち寄っていた。

志保がいつも座るお気に入りの席で化学系の原書を読んでいると、
突然、誰かにポンと肩を叩かれ、声をかけられる。

「よう! また会ったな」

振り向くと、そこには笑顔の工藤新一が立っていた。

「あら、こんにちは」

志保は別段驚いた様子もなく、新一に対して興味なさげに挨拶を返す。

「オメー、何やってるの?」

「何って見ればわかるでしょう」

新一が志保の手元を覗き込む。

「うわー、すげえ、難しそうな本を読んでるんだな。
それ、おもしれーのかよ」

英語を得意とする新一もペーパーバックで推理小説の原書を読んだりもするが、
志保が開いているような本は、さすがに「ゲッ」と声を出して避けたくなってくる。
パッと見ただけでも見知らぬ専門英語や難しい図式がいくつも並んでいる。

「ええ、面白いわよ」

「ふーん」

(……相変わらず可愛くねー女だな)

更新日:2018-03-19 23:49:41

Someday ~ 忘れないで 【コナンで新一×志保】