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それとは別に蘭は新一が突然戻ってきて再会した時からずっと気になっていたことがある。

ふとした瞬間にまるで蘭が見たことがないもう一人の新一がいるのだ。

高校時代はそれでも常に一緒にいられたから、不安や不満に思うこともなかった。

けれども、別々の大学に入り、会う時間がどんどん減っていくのと反比例するかのように……
蘭の不満や疑惑が増大していった。

蘭の知らない間に新一は変わったのだ。

そして、新一に影響を与えたのは誰かと考えた時──
蘭は直感で女性だと思った。

そうした理由から新一が一年と数か月の間、何をやっていたのか蘭は知りたくてたまらなかった。

園子に声をかけられ、新一のことを考えていた蘭の意識が現実へと戻される。

「それで蘭は新一君とどうしたいの?
連絡を取らなかったら、このまま別れることになるわよ。
蘭、それでいいの?」

蘭は園子の言葉に黙って首を振る。
できるなら、新一ともう一度やり直したい。

「だったら、自分の方から新一君に連絡をしてみるべきよ」

「でも……なんか今更、私からは連絡しにくいよ。
だって、今までこんなに新一と話さなかったことってなかったんだよ」

「うーん、そうね……」

園子が顎に右手を置き、左手で右肘を抑え、考えるポーズを取ると何やら悩みだす。

「そうだわ! 蘭、今月末は東都大学の学祭よね。
新一君の大学に偵察に行きましょう!
偶然、新一君に会えるかもしれないわ」

「でも、東都大学ってなんとなく敷居が高くて嫌だな」

「蘭、何、弱気なこと言ってるのよ!
彼氏の大学生活を見てみたくないの?」

「そりゃあ、気にはなるけど……だけど、それって園子が……
自分がいい男がいるか偵察に行きたいんでしょ?」

「もう、蘭ったら、そんなことあるわけないじゃない!
私は蘭のことを心配してるのよ。それに私には真さんもいるし……。
でも、東都大学かー、日本一頭のいい大学よね。
ねえ、蘭! 東都と言ったら新一君みたいな学生がゴロゴロいるのかしら?
なんだか楽しみよねぇ、ウフフフッ」

などと言いながら園子が楽しそうに笑っている。

蘭はそんな園子を前にして「やっぱりね……」と小さくため息をついた。

更新日:2018-03-19 23:52:05

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Someday ~ 忘れないで 【コナンで新一×志保】