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すれ違う心
「ふわあぁー、クソッ、ねみぃーぜ」
工藤新一は東都大学へと続く歩道を歩きながら、何度も欠伸を繰り返していた。
昨日は大学から家に帰りついた途端に……
『また密室殺人だ! 工藤君、手を貸してくれ!』と警視庁の目暮警部から呼び出され、
今朝の六時まで一晩中、都内の高級ホテルで起こった密室殺人事件の謎解きに時間を要した。
そのため午前を自主休講し、自宅で二時間ほど仮眠を取ると、
正午を過ぎてから大学へとやってきたのだ。
東都大学の周辺は古くからある学生街で昔ながらの定食屋や喫茶店を始め、
ファーストフード店におしゃれなカフェレストラン、雑貨店や本屋などが立ち並んでいる。
ちょうどランチ時ということもあって学生街の飲食店はどこも東都大学の学生たちで賑わっていた。
新一がガラス張りの女子学生が好みそうな小奇麗なカフェの前を通り過ぎようとした時、
窓際のテーブル席で楽しそうに談笑する男女の姿が目に入る。
「あれは服部じゃねーか……。ていうか、一緒にいるのは──」
男は新一と同じ法学部の一年で探偵仲間でもある服部平次だった。
そして、服部に対してニコリと笑顔を浮かべている女は……
そう、宮野志保──理工学部のマドンナだ。
(まーた、あの女か……。おいおい、あいつ、笑えるじゃねーか!)
二人はとても会話が弾んでいるようで何やら楽し気に笑っている。
新一は偶然に何度か彼女と顔を合せたが、志保が笑った顔など見たことがない。
工藤新一は東都大学へと続く歩道を歩きながら、何度も欠伸を繰り返していた。
昨日は大学から家に帰りついた途端に……
『また密室殺人だ! 工藤君、手を貸してくれ!』と警視庁の目暮警部から呼び出され、
今朝の六時まで一晩中、都内の高級ホテルで起こった密室殺人事件の謎解きに時間を要した。
そのため午前を自主休講し、自宅で二時間ほど仮眠を取ると、
正午を過ぎてから大学へとやってきたのだ。
東都大学の周辺は古くからある学生街で昔ながらの定食屋や喫茶店を始め、
ファーストフード店におしゃれなカフェレストラン、雑貨店や本屋などが立ち並んでいる。
ちょうどランチ時ということもあって学生街の飲食店はどこも東都大学の学生たちで賑わっていた。
新一がガラス張りの女子学生が好みそうな小奇麗なカフェの前を通り過ぎようとした時、
窓際のテーブル席で楽しそうに談笑する男女の姿が目に入る。
「あれは服部じゃねーか……。ていうか、一緒にいるのは──」
男は新一と同じ法学部の一年で探偵仲間でもある服部平次だった。
そして、服部に対してニコリと笑顔を浮かべている女は……
そう、宮野志保──理工学部のマドンナだ。
(まーた、あの女か……。おいおい、あいつ、笑えるじゃねーか!)
二人はとても会話が弾んでいるようで何やら楽し気に笑っている。
新一は偶然に何度か彼女と顔を合せたが、志保が笑った顔など見たことがない。
更新日:2018-03-19 23:52:27