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10%の確率
昨年の六月、工藤新一が江戸川コナンになってから一年以上が過ぎていた。
アメリカのFBIやCIA、日本の公安や警視庁といった警察組織の連携によって、
世界中で暗躍していた黒の組織が壊滅した。
しかし、黒の組織が仕掛けていた爆弾が爆発して、彼らのアジトのほとんどが、
建物ごと破壊されてしまった。
爆破された黒の組織の本部ビルを調べた結果──
かろうじて無事だったPCからAPTX4869の一部のデータを手に入れることに成功した。
灰原哀は黒の組織の崩壊の知らせを聞き、FBIの赤井秀一にすべての事情を話すと、
赤井からAPTX4869のデータの一部を譲り受けた。
そうして、小学二年生の夏休みの間中、阿笠邸の地下の研究室に籠り続け、
ついに解毒剤を完成させたのだ。
早速、哀は江戸川コナンを阿笠邸の地下室に呼び出す。
「工藤くん、解毒剤がついに完成したわよ」
「本当か? 灰原、ありがとう!
俺、やっと工藤新一に戻れるんだなぁー、長かったぜ」
そう感慨深げに話すコナンの顔には喜びが満ち溢れていた。
その一方で、哀は浮かない顔をしている。
「灰原……オメー、何、憂鬱な顔してんだよ。解毒剤は完成したんだろう?」
「ええ、完成したわ。だけど、FBIからもらったデータは完璧なものじゃなかったの」
「えっ? どういうことだ?」
「この解毒剤は完成度が90%なのよ。まだ残り10%は未完成のままなの……。
私が手に入れたデータではこれ以上の完成度を高めることはどうしても無理だったのよ」
「つまり、残り10%の確率で今までの試作品のように元に戻っちまうってことか?」
「ええ、そうよ、工藤くん……でも、問題はそれだけじゃないの。
残り10%の確率で重大な副作用をもたらすかもしれないわ。
最悪の場合……命を落とすこともありうるわね」
哀の言葉にコナンはじっと何かを考えるかのように押し黙る。
「工藤くん、ごめんなさい……」
哀は沈黙に耐えきれずにコナンに謝っていた。
アメリカのFBIやCIA、日本の公安や警視庁といった警察組織の連携によって、
世界中で暗躍していた黒の組織が壊滅した。
しかし、黒の組織が仕掛けていた爆弾が爆発して、彼らのアジトのほとんどが、
建物ごと破壊されてしまった。
爆破された黒の組織の本部ビルを調べた結果──
かろうじて無事だったPCからAPTX4869の一部のデータを手に入れることに成功した。
灰原哀は黒の組織の崩壊の知らせを聞き、FBIの赤井秀一にすべての事情を話すと、
赤井からAPTX4869のデータの一部を譲り受けた。
そうして、小学二年生の夏休みの間中、阿笠邸の地下の研究室に籠り続け、
ついに解毒剤を完成させたのだ。
早速、哀は江戸川コナンを阿笠邸の地下室に呼び出す。
「工藤くん、解毒剤がついに完成したわよ」
「本当か? 灰原、ありがとう!
俺、やっと工藤新一に戻れるんだなぁー、長かったぜ」
そう感慨深げに話すコナンの顔には喜びが満ち溢れていた。
その一方で、哀は浮かない顔をしている。
「灰原……オメー、何、憂鬱な顔してんだよ。解毒剤は完成したんだろう?」
「ええ、完成したわ。だけど、FBIからもらったデータは完璧なものじゃなかったの」
「えっ? どういうことだ?」
「この解毒剤は完成度が90%なのよ。まだ残り10%は未完成のままなの……。
私が手に入れたデータではこれ以上の完成度を高めることはどうしても無理だったのよ」
「つまり、残り10%の確率で今までの試作品のように元に戻っちまうってことか?」
「ええ、そうよ、工藤くん……でも、問題はそれだけじゃないの。
残り10%の確率で重大な副作用をもたらすかもしれないわ。
最悪の場合……命を落とすこともありうるわね」
哀の言葉にコナンはじっと何かを考えるかのように押し黙る。
「工藤くん、ごめんなさい……」
哀は沈黙に耐えきれずにコナンに謝っていた。
更新日:2017-10-20 22:09:08