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記憶の欠片 ~Fragment of the memory~

 -Yuno side-


僕らの距離は、いつになったら縮むのかな・・・。

離れては近づき・・・近づけば離れていく・・・
波打ち際に打ち寄せる波のように・・・

一から始めると覚悟を決めていたはずなのに・・・・僕は・・・


『チャンミンごめんよ・・・きみとの出会いを・・・俺は・・・消すことにしたよ・・・』

この先 きみと出会ったとしても・・・

その時の俺は、きみの知っている俺ではないから・・・

・・チャンミン


『 チャンミン ・・・』 俺の小さな記憶の欠片


僅かな記憶を留めるために、俺は何度もこの名前を
繰り返し・・・繰り返しながら呼んでいたんだろう。
桜色のマフラーがよく似合う・・・優しく笑うきみを・・・


それももう終わらせるんだ・・・自分のこの手で・・・


きみと俺を繋ぎとめる・・・あの桜の木の出来事を知る度に、
行き場のない憤りがきみを傷つけてしまう・・・。


『 そんなこと、俺は望んでない!!』


俺が望んでいることは・・・チャンミン


きみがいつまでも、桜の花のように・・・
温かく優しい笑顔で笑っていてほしいんだ・・・


思わず君のことを強く抱きしめた時に伝わった・・・きみの鼓動


呼吸をする度に・・・きみの細い身体から聞こえる
俺の鼓動と交互に響くきみの音・・・


これだけは・・・俺の身体の記憶が残しておくよ・・・


こんなにきみのことを忘れたくないと願っている俺・・・ ばかだよな・・・


『桜の妖精か・・・ 俺にとっても妖精みたいだったな・・・』


「、、、そこのお兄さん、妖精っていると思う?」


後ろの方で、俺に話かける声が聞こえた。
どことなく聞き覚えのある声だけど・・・そう、きみと似てる


『 チャンミンッ!! 』

思わず振り返る俺を見ている顔は、まったくの別人の
いたずらっぽく笑う少年がそこに立っていた。


「チャンミンって誰?、お兄さんの知り合い?」


少年が俺に訊ねる


「誰だっていいだろ、、、その前にお前、誰だよ?」


「僕?、僕の名前は、、、」


「あっ、待て!! お前の名前聞いても憶えとけなかった!!」


「えぇ~、聞いといて酷いなぁ、僕の名前は【キー】(笑)よろしくね(笑)」


人懐っこそうな笑顔を見せるキー・・・。



チャンミン・・・きみとはまったく違う笑顔の少年が現れたのは
ただの偶然なのかな?・・・それとも、きみとの別れを暗示してたのかな・・・

更新日:2015-10-08 22:44:58

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記憶の欠片 ~Fragment of the memory~