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シオン先生と奥さんのおはなし
むかしむかし、ある国に、アグリという街がありました。
その街には、大学があって、畑のことを勉強する先生方と若い人たちがたくさん住んでいました。
アグリの大学には、シオンという名前の、有名な畑の先生がいました。
シオン先生はまだ若くて、奥さんと2人、街のはずれの大きな畑に囲まれた小さな家に住んでいました。
奥さんは、ルチアさんと言います。
ルチアさんは、少々変わっていて、毎朝大きな声で叫びます。
近所の人たちも、慣れていました。
ルチアさんはシオン先生より少しばかり年が上でしたので、たいへんなこともあるのだろうな、と近所の奥さんたちは噂していました。
シオン先生とルチアさんは、とても仲良しです。
けれど、今朝も、ルチアさんは、大声で叫びました。
パンケーキを焦がしてしまったのです。
昨日も、その前の日も。
「気にしなければいいのに。ぼくは毎日、おいしい朝ごはんに満足していますよ」
シオン先生は、ルチアさんに言いました。
それは、本当のことでした。
ルチアさんの作るヨーグルトとピクルスは、シオン先生の大好物で、他の先生方にいつも自慢にしていました。
けれど、ルチアさんはパンケーキが上手に焼けないのを、とても気にしていたのです。
春になって、日ざしが暖かくなりました。
ルチアさんの羊は、とても毛並みの良い、立派な羊でしたが、暑さでまいってしまいました。
ルチアさんはかわいそうに思いましたが、羊の毛をかるハサミを持っていませんでした。
そこで、シオン先生は、大学で羊の世話をしているお弟子さんに相談しました。
お弟子さんは言いました。
「そんなら、ぼくに任せてください。
ぼくの家は羊飼いですから、毛をかるのは得意なんです」
お弟子さんはさっそくシオン先生の家へ来て、羊の毛をかってくれました。
シオン先生も手伝いました。
ルチアさんは、その様子をじっくり眺めて、自分にはできそうにないな、と思いました。
お弟子さんに毛をかってもらって、羊は涼しくなって、嬉しそうです。
けれど、羊の毛は思ったよりたくさんあって、小さな家は何だかせまく感じます。
「羊の毛を、早く糸にしなければね」
と、シオン先生は言いました。
ルチアさんは、だまって羊の毛を眺めていました。
その街には、大学があって、畑のことを勉強する先生方と若い人たちがたくさん住んでいました。
アグリの大学には、シオンという名前の、有名な畑の先生がいました。
シオン先生はまだ若くて、奥さんと2人、街のはずれの大きな畑に囲まれた小さな家に住んでいました。
奥さんは、ルチアさんと言います。
ルチアさんは、少々変わっていて、毎朝大きな声で叫びます。
近所の人たちも、慣れていました。
ルチアさんはシオン先生より少しばかり年が上でしたので、たいへんなこともあるのだろうな、と近所の奥さんたちは噂していました。
シオン先生とルチアさんは、とても仲良しです。
けれど、今朝も、ルチアさんは、大声で叫びました。
パンケーキを焦がしてしまったのです。
昨日も、その前の日も。
「気にしなければいいのに。ぼくは毎日、おいしい朝ごはんに満足していますよ」
シオン先生は、ルチアさんに言いました。
それは、本当のことでした。
ルチアさんの作るヨーグルトとピクルスは、シオン先生の大好物で、他の先生方にいつも自慢にしていました。
けれど、ルチアさんはパンケーキが上手に焼けないのを、とても気にしていたのです。
春になって、日ざしが暖かくなりました。
ルチアさんの羊は、とても毛並みの良い、立派な羊でしたが、暑さでまいってしまいました。
ルチアさんはかわいそうに思いましたが、羊の毛をかるハサミを持っていませんでした。
そこで、シオン先生は、大学で羊の世話をしているお弟子さんに相談しました。
お弟子さんは言いました。
「そんなら、ぼくに任せてください。
ぼくの家は羊飼いですから、毛をかるのは得意なんです」
お弟子さんはさっそくシオン先生の家へ来て、羊の毛をかってくれました。
シオン先生も手伝いました。
ルチアさんは、その様子をじっくり眺めて、自分にはできそうにないな、と思いました。
お弟子さんに毛をかってもらって、羊は涼しくなって、嬉しそうです。
けれど、羊の毛は思ったよりたくさんあって、小さな家は何だかせまく感じます。
「羊の毛を、早く糸にしなければね」
と、シオン先生は言いました。
ルチアさんは、だまって羊の毛を眺めていました。
更新日:2015-09-18 18:15:24