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みどりのドア

みどりのドア
2015年09月03日(木) 16時30分00秒
テーマ:空想小説





久しぶりに買い物に出かけた。



お気に入りのショップが無くなってて

そこは可愛いペットショップ。



こんな街中でペットを飼えるなんて・・


そんなひねくれた気持ちで、ちらっ

その店の中を覗くと、そこはまるで

おもちゃ屋みたいにカラフルで・・



いらっしゃいませ~♪



動物を扱う店員には見えない洋服の

店員にドアを開けられた。





オープン記念で、30パーセントoff

なんですよ~



そんな言葉をかけてくる若い女の子。



中は結構混んでいて、動物ケージの前

には人だかり。




そんな人達を見つめていた俺に



「お客様の飼われているのは?」、

後ろから声を掛けられた。



胸元のネームには、オーナーの文字。



さすがオープン記念、

こんな年配のオーナーまで接客なんだ



そんな俺の目をじっと見ていたその人は




「客様の処にはとっても気まぐれで

それでいて甘え上手な雄猫がおいでの

ようですね?」、



クスリと笑い


キョトンとしている俺の背中をそっと

押した。




「あちらの緑のドアからお入り下さい」、


耳元で小さく聞こえた声にビクンッっと

振返ると、オーナーは次の客の元へ

向かっていた。




視線を戻して緑のドアを見る。




スタッフ & 会員 


そう書かれたそのドアに、引き寄せら

れる様に、俺はそのドアを開けていた。














ドアの先には、階段があって薄暗い2階

へと向かっている。



カツン

一段登った瞬間、ふわりとオレンジの光が

自動で付いた。



壁には可愛い猫の模様。


ねこ・・

それは、ちょうど真ん中位だと思う場所に



ねこじゃなーよな・・・


綺麗な男の子のイラストがあった。


まるで、猫の様な格好で・・




嫌な予感を感じながらもその先にある

ドアノブに手を掛けた。



キイ・・


押しても居ないのに開いたドア。



「いらっしゃいませ・・」、


そう声をかけて来た店員は猫の恰好で




「お気に入りのニャンコをご指名下さい」、


そう言って俺をカウンターへと導いた。




オレンジ色の光の先にうっすら見える

人影。




手渡されたのは、目元を覆う仮面。



「初めてですよね?・・」、


ニッコリ笑うその青年は、カウンターに

メニューを出した。




「ここでしか飼えない方は、こちらの

コースがお薦めですよ。

お家で飼いたい場合は、お試しのお泊

りが利用できます。」、


そういって、ニッコリ笑う写真を指差し



「お好みは?・・」、


俺の頬をその指ですう~っと撫でた。




「や・・あの・・」、


一歩身体を逃がした俺は、どん!

後ろの人にぶつかった。



「すいません!」、


俺が振り返るのと



「あ。オーナー!」、

その青年が声を掛けるのが同時で




「こらこら、この方はそっちじゃなく

て、販売だとおもうよ? 」、


俺にウインクをして見せた。





「あ~すいません、気が付かなくて」、


青年が慌てて違うメニューを探し



「まだ見る目が無いんですよ・・」、


オーナは苦笑いをした。



青年からメニューを受け取った

オーナーは、個室のドアを開けて



「お試しの用意をしておいで・・」、


ドアの近くにいた真っ白な猫・・君に

そう言って俺をその部屋に通した。




「あ・・あの、ちょっと意味が・・」、


ソファーを進められた俺は、言葉に

詰まりながら



「飼ってるでしょ?・・」、


ニヤリっと笑ったその笑顔がとっても

怖くて・・




思わずそこに座っていた。









「これは、こうして使います」、


目の前で繰り広げられているのは夢で

なく現実で・・




今まで見たことのない衝動に、俺の

熱が高まっている。



「何色がお好きですか?その猫ちゃん」


数々の実技を観終わって放心状態の

俺の前にずらりと並んだそれ。




「まずは、これからですよ・・」、


ニッコリ微笑んだオーナーは入会記念に

その中のひとつを包んでくれた。

















「おかえり~♪」、


玄関に広がる味噌汁の匂い。

ふわり抱きついたその身体からは


「今日はサンマ?」、

香ばしい香りがする。



ニッコリ笑う俺の大事なにゃんこ・・





ああ・・今すぐその細くて白い首に

キラキラなラメ入りのピンクの首輪を

付けたい!



キッチンへ向かった細い腰。






カバンの中のその紙袋に手を伸ばし




「今日さあ・・お気に入りの店をさ

見つけたんだよ・・」、


ゆっくりとその背中に回り込んで




「お前も気に入ると思うんだ・・

だから、今度一緒に・・行こう?」、



ゆっくりその手を後ろにまとめた。













秋の夜は始まったばかり・・

































更新日:2015-09-14 23:37:04

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