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a habit(習慣)
「ん~~。」
誕生日公演を含めた舞台が、東京千秋楽を迎えた。
満足感と開放感からか、今日は熟睡してしまった。
・・・昨日は仲間うちの打ち上げのあと、まおと更に飲み直していたせいもあるんだけど。
「う~~、だりい。」
年齢のせいだろうか?
お酒好きな恋人を離れていたせいだろうか?
アルコールをたしなむ機会が減った上に、飲んだ次の日は倦怠感が残ることが多い。
裸の上半身を起こし、伸びてきた髪の毛をかきあげる。
「・・・まだ、8時か。」
時計を確認して、パタリ。とまた二度寝体制に陥ろうとして、じーっとこっちを伺っている視線に気がつく。
「・・・あ。どした?」
「・・・おはよう。大ちゃん。」
「・・・おはよう。」
大きな瞳がうるうると潤んで、布団に隠れてしまう。
「ちょ!マジでどーした?」
朝から泣かせるようなことをした覚えはないけど。
寝言でオンナの名前でも口走っていたか?
だとしても、共演者の名前か、身内の名前ぐらいで、まおだってわかってるはず。
・・・やましいことなんて、何もない。断じて、ない。
慌てて布団をまくって、ぎゅうっ!と抱き締めると、ぼそぼそと小声で腕の中で身じろぎする。
「・・・何か、気に障ることした?」
「・・・は!?」
何が、どーして、そーなるのか?
むしろ、「何かしたか?」と問いただして、謝らなければ。と思っているのは俺のほうなのに。
「・・・目があったのに、おいで。ってしてくれなかった。」
「あー・・・。わりい。」
目が覚めて一番にすることと言えば。
両腕を広げて「こっちにおいで。」と抱き締めることだろう。
長年欠かすことのなかった二人の間の習慣。
せっかく連日の舞台で疲れてるだろうから。と、遠慮して腕枕で寝ることは避けてくれていた。
昨日は不覚にもまおよりも先に寝落ちしてしまったし。
そんな心優しい恋人に対して、二日酔いとは言え、二度寝を最優先してしまうなんて、なんたる不覚っ!
「・・・疲れてるんだよね。ごめん。わがまま言った。」
「いやいや。あーまあ、疲れていたのは事実だけど。こっちこそ、ごめんな?別に怒ったりしてるわけじゃないぞ?」
「・・・だったら、いいけど。」
すり。と遠慮がちに自分から胸の中にすりよってくる恋人が愛おしくて仕方がない。
照れ屋なまおは、ストレートに感情をぶつけてくれることが少ないけれど、態度の端々に俺のことを思いやって愛している、ということを表してくれる。
「かわいいな。お前。」
「どーしてここでかわいいになるんだよっ!」
頭を撫でながら、ちゅ。ちゅ。と顔中にキスを落とすと、今までのしおらしい態度はどこへやら、
プンスカ怒って胸を叩いてくる。
「・・・そゆとこが。」
かまってくれない。と落ち込んでみたり、照れてみたり。
その根底にあるものが、俺への気配りだったり愛情だったりするところが。
「あれ?気にいらない??・・・じゃあ、愛してる。」
「・・・・ばっかじゃないの!」
トドメとばかりに、とろけるような笑顔を浮かべて口づけると、真っ赤になったまおが布団に隠れてしまった。
「・・・やっぱ、かわいい。」
布団ごと抱き締めて、ついつい言葉にしてしまう。
「もう、しらない。」
もごもごと布団の中で抗議する声が聞こえたけれど。
愛おしさを募らせるばかりで。
「・・・まおちゃん?一緒に二度寝しよ?・・・それとも、XXXがいい?」
おっきなぬいぐるみと化したまおを抱き締めてゆさゆさと揺さぶりながら、
恋人のご機嫌をとるのってこんなに楽しかったっけな?と幸せを噛み締める。
「・・・じゃ、キスして。」
布団の中から首だけ出したまおが、赤く潤んだ瞳で誘い文句とは裏腹に睨んでくる。
「お姫さまの仰せのままに。」
ちゅ。と触れるだけのキスをすると、ぐいっと引き寄せられて、深く唇が合せられた。
「んっ。はっ・・・。まっおっ・・・。」
「んっ。んっ。だいっ・・・ちゃっ。」
朝日の中に甘い吐息が散ってゆく。
今日と言う日は始まったばかり。
a habit
俺達の日常。俺達の習慣。
今日も幸福に満ちた一日が始まる。
・・・・あ。謝るタイミング逃しちゃったよ。
ま、いっか。
明日も、明後日も、共にいるのだから。
誕生日公演を含めた舞台が、東京千秋楽を迎えた。
満足感と開放感からか、今日は熟睡してしまった。
・・・昨日は仲間うちの打ち上げのあと、まおと更に飲み直していたせいもあるんだけど。
「う~~、だりい。」
年齢のせいだろうか?
お酒好きな恋人を離れていたせいだろうか?
アルコールをたしなむ機会が減った上に、飲んだ次の日は倦怠感が残ることが多い。
裸の上半身を起こし、伸びてきた髪の毛をかきあげる。
「・・・まだ、8時か。」
時計を確認して、パタリ。とまた二度寝体制に陥ろうとして、じーっとこっちを伺っている視線に気がつく。
「・・・あ。どした?」
「・・・おはよう。大ちゃん。」
「・・・おはよう。」
大きな瞳がうるうると潤んで、布団に隠れてしまう。
「ちょ!マジでどーした?」
朝から泣かせるようなことをした覚えはないけど。
寝言でオンナの名前でも口走っていたか?
だとしても、共演者の名前か、身内の名前ぐらいで、まおだってわかってるはず。
・・・やましいことなんて、何もない。断じて、ない。
慌てて布団をまくって、ぎゅうっ!と抱き締めると、ぼそぼそと小声で腕の中で身じろぎする。
「・・・何か、気に障ることした?」
「・・・は!?」
何が、どーして、そーなるのか?
むしろ、「何かしたか?」と問いただして、謝らなければ。と思っているのは俺のほうなのに。
「・・・目があったのに、おいで。ってしてくれなかった。」
「あー・・・。わりい。」
目が覚めて一番にすることと言えば。
両腕を広げて「こっちにおいで。」と抱き締めることだろう。
長年欠かすことのなかった二人の間の習慣。
せっかく連日の舞台で疲れてるだろうから。と、遠慮して腕枕で寝ることは避けてくれていた。
昨日は不覚にもまおよりも先に寝落ちしてしまったし。
そんな心優しい恋人に対して、二日酔いとは言え、二度寝を最優先してしまうなんて、なんたる不覚っ!
「・・・疲れてるんだよね。ごめん。わがまま言った。」
「いやいや。あーまあ、疲れていたのは事実だけど。こっちこそ、ごめんな?別に怒ったりしてるわけじゃないぞ?」
「・・・だったら、いいけど。」
すり。と遠慮がちに自分から胸の中にすりよってくる恋人が愛おしくて仕方がない。
照れ屋なまおは、ストレートに感情をぶつけてくれることが少ないけれど、態度の端々に俺のことを思いやって愛している、ということを表してくれる。
「かわいいな。お前。」
「どーしてここでかわいいになるんだよっ!」
頭を撫でながら、ちゅ。ちゅ。と顔中にキスを落とすと、今までのしおらしい態度はどこへやら、
プンスカ怒って胸を叩いてくる。
「・・・そゆとこが。」
かまってくれない。と落ち込んでみたり、照れてみたり。
その根底にあるものが、俺への気配りだったり愛情だったりするところが。
「あれ?気にいらない??・・・じゃあ、愛してる。」
「・・・・ばっかじゃないの!」
トドメとばかりに、とろけるような笑顔を浮かべて口づけると、真っ赤になったまおが布団に隠れてしまった。
「・・・やっぱ、かわいい。」
布団ごと抱き締めて、ついつい言葉にしてしまう。
「もう、しらない。」
もごもごと布団の中で抗議する声が聞こえたけれど。
愛おしさを募らせるばかりで。
「・・・まおちゃん?一緒に二度寝しよ?・・・それとも、XXXがいい?」
おっきなぬいぐるみと化したまおを抱き締めてゆさゆさと揺さぶりながら、
恋人のご機嫌をとるのってこんなに楽しかったっけな?と幸せを噛み締める。
「・・・じゃ、キスして。」
布団の中から首だけ出したまおが、赤く潤んだ瞳で誘い文句とは裏腹に睨んでくる。
「お姫さまの仰せのままに。」
ちゅ。と触れるだけのキスをすると、ぐいっと引き寄せられて、深く唇が合せられた。
「んっ。はっ・・・。まっおっ・・・。」
「んっ。んっ。だいっ・・・ちゃっ。」
朝日の中に甘い吐息が散ってゆく。
今日と言う日は始まったばかり。
a habit
俺達の日常。俺達の習慣。
今日も幸福に満ちた一日が始まる。
・・・・あ。謝るタイミング逃しちゃったよ。
ま、いっか。
明日も、明後日も、共にいるのだから。
更新日:2015-11-16 16:20:05