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どんなときも。

おれよりもちょこっと背の高い大ちゃんは、普通に並んで歩いているつもりでもいつの間にか少しだけ先を歩いている。

肩を並べているつもりでも、気がつけば背中を追いかけている。
同じスピードで並ぼうとすると、ほんの少しだけど息があがるくらいのスピードになる。

「ついてきてるか?」

言葉にはしなくても、時折おれを振り返って気にしてくれる。
優しく差し伸べてくれる腕のような、眼差しがとても好きで、心地よくて。

少しだけ息を弾ませて、追いかけるのが嬉しかった。
ずっと、その背中を追いかけていたい。
ずっと、ついてきてるか?と振り返ってほしい。


そんなふうに思っていたけど。


離れてみて、違うことに気がついた。


おれが自分の足で、自分のペースで歩み出したように。
大ちゃんもおれのことを気にせずに自分の力で歩みだした。

きっと、寂しくて苦しくて。
想像するだけで、涙がでてきてしまったけれど。
自分の決めたことだから、と己を奮い立たせた。

後悔はしない。と言い聞かせて、必死に一歩を踏み出した。


今は、この別々の歩みが力強く背中を押してくれる。


振り返らなくてもいいよ。

おれは、おれで、ちゃんと歩けるから。

大ちゃんは、おれのことなんて気にしないで、ずんずん大股で歩いて行ってほしい。


離れた分だけ、お互いに強くなった。

次々に大きな舞台を勝ち取る大ちゃんの背中は、もうおれを待ってはいない。

でも、それでいい。
さみしくは、ない。

どんなときも。

お互いを高めあえる存在だから。


遠く遥かな青空の高みへと、のぼってゆく大ちゃん。


待って。と追いかけることはもうしない。


まぶしいばかりのその背中を、頼もしく見上げていよう。


どんなときも。




更新日:2015-11-16 16:18:17

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いつまでも大まおが好き!その3