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タイムラグ

「まいったな・・。」

歯の根がかち合うような寒さの中、独りドライブから帰ってきた車内は緊迫感なくぬくもっていた。
曇った窓ガラスが外気の冷たさを物語っている。
駐車場からのわずかな距離だというのに、外にでるのが億劫だなあ。と、ふと助手席の窓に目をやった途端、胸の奥が裂けたかと思った。

「ほんとに、アイツは・・。」

つぶやくばかりで、ますますその場から動けなくなってハンドルに両手を組んで突っぷす。


手の甲を押し付けたまぶたの裏には、まるでアイツが目の前にいるかのように。
助手席に手を伸ばせば、まだぬくもりが残っているかのように、感じた。


ことのおこりは、何気ない会話だったと思う。

更新日:2015-11-16 16:14:44

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いつまでも大まおが好き!その3