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スキ。

-------平気、だったはずなのにな・・・。

ミルクのたっぷり入ったコーヒーをスプーンでくるくるとかき混ぜながら、独り、ため息をつく。

目にしみるような青空が、なぜ寂しく見えてしまうのははぜだろう。

楽しい思い出がいっぱい詰まった海。
優しい気持ちに触れた町。
ねっとりとした湿気を含んだ空気は、鼓動を速めた。

「ねねね。今度沖縄に行くんでしょ?
この店もいいし~~。このホテルも素敵だったし~。このビーチも砂が真っ白でよかったよ!!」

興奮気味に話していた数日前の自分が嘘みたいだ。

いってらっしゃい。の瞬間までは、大好きな土地に送りだすことに喜びしか感じなかったのに。

「あ~~。どうして、こんなに弱くなってんだろ?」

出会ったころなんて、数ヶ月ぶり。とかでも平気だったじゃないか。
視線が合うだけで、幸せだったじゃないか。
一方的に見詰めるだけでも、十分だったじゃないか・・・。

なのに。

たった数日。

離れているだけで、こんなにも寂しくなる。

つい、二人ぶんのマグカップを用意してしまって、食器棚に戻すときの空しさ。

「独りのほうが気楽でしょ?」

それはもちろん、そうなのかもしれないけど。

ある人限定で、二人のほうが居心地がいい。

自分の時間をマイペースにすごしていても、当たり前のように側にいて。
「もう、しょうがないなあ~。」
って、わがままを言っても許してくれるから、愛情を確かめたくてつい甘えてしまう。


「スキだよ。」


カップにハートマークを描いたことに気がついて、慌ててスプーンでかき混ぜた。


今更、だけど。

スキなんだから、しょーがない。

更新日:2015-09-14 16:59:52

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いつまでも大まおが好き!その3