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傷心
第四研究室では、新チップの実験が行われていた。
実験をしている人間は、ユースとユネストを中心に、コンピューター技師や医者などの七人ほどだった。
実験体になっているのは、昨日まで瀕死の状態でいたレイクだった。
研究者は彼の生命維持装置にチップを接続させて、回復の指示を与えた。そして司令が果たされていく様子を見ていたが、成果はあまり上がっていなかった。
その主な原因は、レイク自身に協力する意志が見られないためだった。
少年は自分の体調や精神状態をチップに管理される事に、とても抵抗を感じていた。七歳の頃から強制的にチップをつけられたせいで、拒否反応が余計に多く出ているのだ。
ユースはそんなレイクのやる気を起こさせるために、ある試みを実行した。
ちょうど今、この刑務所内にレイクのガールフレンドのツィーニャが逗留していた。
“彼女に会わせてやれば、必ずレイクは元気になるはずだ…”とユースは思った。それでコメットやジョーンに無理やり頼み込み、彼女を検査室の近くまで連れてくる事に成功したのだ。
コメットが会見に指定した場所は、第四研究室ではなく、予備の検査室とその隣の防音室だった。二部屋は普段使われておらず、この会合のためだけにレイクのベッドや椅子が運び込まれた。
運ばれたレイクは予備検査室の方に入れられた。彼は寝ながら前方のマジックミラーが見えるように、ベッドの上半分を上げられた形でベルトで縛られた。
ツィーニャには付き添いでタケルが同行して来ていた。彼らは隣の防音室に入り、ガラスを向いて椅子に座った。
壁にはめ込まれたそのガラスは、彼女の方からはただの鏡になっており、自分の姿しか見えなかった。
ガラスは病院のX線治療室などにある、操作室の窓のようにかなり大きかった。横幅は三メートル程もあり、縦の長さは一メートルぐらいだった。
そうして防音室にやってきたツィーニャの姿を、レイクは見つけたのだ。
少年は必死に身を乗り出して彼女に近づこうとした。大声で少女に呼びかけたが、部屋は音が通じないようになっていたので聞こえなかった。
実験をしている人間は、ユースとユネストを中心に、コンピューター技師や医者などの七人ほどだった。
実験体になっているのは、昨日まで瀕死の状態でいたレイクだった。
研究者は彼の生命維持装置にチップを接続させて、回復の指示を与えた。そして司令が果たされていく様子を見ていたが、成果はあまり上がっていなかった。
その主な原因は、レイク自身に協力する意志が見られないためだった。
少年は自分の体調や精神状態をチップに管理される事に、とても抵抗を感じていた。七歳の頃から強制的にチップをつけられたせいで、拒否反応が余計に多く出ているのだ。
ユースはそんなレイクのやる気を起こさせるために、ある試みを実行した。
ちょうど今、この刑務所内にレイクのガールフレンドのツィーニャが逗留していた。
“彼女に会わせてやれば、必ずレイクは元気になるはずだ…”とユースは思った。それでコメットやジョーンに無理やり頼み込み、彼女を検査室の近くまで連れてくる事に成功したのだ。
コメットが会見に指定した場所は、第四研究室ではなく、予備の検査室とその隣の防音室だった。二部屋は普段使われておらず、この会合のためだけにレイクのベッドや椅子が運び込まれた。
運ばれたレイクは予備検査室の方に入れられた。彼は寝ながら前方のマジックミラーが見えるように、ベッドの上半分を上げられた形でベルトで縛られた。
ツィーニャには付き添いでタケルが同行して来ていた。彼らは隣の防音室に入り、ガラスを向いて椅子に座った。
壁にはめ込まれたそのガラスは、彼女の方からはただの鏡になっており、自分の姿しか見えなかった。
ガラスは病院のX線治療室などにある、操作室の窓のようにかなり大きかった。横幅は三メートル程もあり、縦の長さは一メートルぐらいだった。
そうして防音室にやってきたツィーニャの姿を、レイクは見つけたのだ。
少年は必死に身を乗り出して彼女に近づこうとした。大声で少女に呼びかけたが、部屋は音が通じないようになっていたので聞こえなかった。
更新日:2015-09-06 19:34:25