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 彼は床へ乱暴に頭を押しつけられた。自分の吐しゃ物の上で体を反転させられ、そのままものすごい勢いで壁まで押された。
 髪の毛が摩擦で焼けるか、根元から全部抜けてしまうのではないかと思った時、頭のてっぺんが壁にぶち当たって、彼は少し気が遠くなった。
 しかしコメットは少年を無意識の世界へは逃がさなかった。止まった体を持ち上げて挿入し直し、これまで以上の激しさで腰の動きを始めたのだ。
 すぐにユースはその行為の苦痛にさいなまれ、体を引き裂かれるような思いを味わった。


 彼は今、自分に暴力を与えている人間がコメットだというのは分かっていた。
 ツィーニャとレイクの会見を終えた後、彼は主任と二人でこの防音室へ入った。相手が何か内密で話があるか、先の予定を話すつもりかと思ったのだ。
 だが彼が入ると電気が消され、部屋の中が見えなくなった。そして主任が壁のパネルを操作する音がした。
 機械音はあまりしなかったが、周りで大きな物体が動く気配があった。そのため危なくないようにか、コメットはユースの腕をずっとつかんでいた。



 そうして立っていると、いきなり少年は頭と腹に打撃を食らった。
 コメットからは何の警告もなかった。会話すらまだ始めていなかったのだ。
 攻撃を受けて、彼は為すすべもなく床に崩れ落ちた。それからというもの、殴られ続けて一度も起き上がる事が出来なかった。

 ユースにとってはただ悪夢だけが続いていた。
 これがどういう状況なのか、どうすればここから逃げられるのか、考えようにも上手く思考がまとまらなかった。コメットが本気で自分を殺そうとしているとしか思えず、その恐怖で頭が一杯になってしまっていた。
 ずっと大声で叫び続けていたが、もはや自分の声は耳に届かなかった。
 視力と同じように、聴力も麻痺してしまったのかもしれない。ただ休みなく送り込まれる、体のあらゆる部分への痛みだけしか、彼は認識できなかった。






 一方、コメットは暗闇でも視力が利くよう訓練を受けていたので、ユースの姿はよく見えた。
 少年は今、壁に頭をこすりつけながら、彼に足を釣り上げられてバックから犯されていた。

更新日:2015-12-26 10:50:56

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ORIGIN180E ハルカイリ島 収監編 2