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ユネ「彼の事は放っておけ。ちょっとお仕置きをくらってる。命令を聞かずに自分勝手をしたからな」
レ「頭の中がうるさい、やめさせろ。誰がしてるんだ。‥‥‥殴ってるのか」
ユネ「何故聞こえる? どうやら、頭の中の第五体と関連がありそうだな。───黙っていろ、ルー」
 会話の途中だったので、ユネストはついルーへの言葉も口に出してしまったのだ。
 その名前に気がついて、レイクが反応した。
レ「ルーがいるのか。久しぶりだな…」
 少年は自分が性格づけをした人工知能・ルーの事を思い起こして、少し黙った。
 だがまだ聞く内容が残っていたので、すぐに話を戻して相手に尋ねた。
レ「ツィーニャは?会わせてくれ」
ユネ「それはジョーンに頼むんだな。コメットはまだ手が離せんから、どっちみちもう少し待つことだ」
 そこへ助手が口を挟んだ。
助「先生、縫合がまだなんです。血は止まってますが、カンム先生が途中で行ってしまわれたので」
ユネ「なら置いておけ。奴にその仕事はとっておいてやれ。下手に手を出せば、余計に機嫌を悪くするぞ」
助「ですが‥」
隊「いい加減、こいつを何とかしてくれませんかね。暴れるたびに洗いに呼ばれたんじゃ、こっちもやってられませんよ!」
 隊員が怒って、医者に向かって文句を言った。
 以前から無駄に下の世話などさせられて、隊員たちは頭にきているようだった。
 一人の隊員は余程、腹に据えかねているらしかった。助手の見ていない時に近づいて、レイクの鼻を素早くつまんでねじ上げていった。
レ「イテッ!」
ユネ「一々洗わなくても死にやしない。レイク、一応容態を聞いておこうか。気分はどうだ」
レ「最悪だ。ユースが呼んでる。これじゃ、ツィーニャの声も聞こえない」
隊「俺には何も聞こえんがな」
ユネ「もう恐ろしくはないか?」
レ「ああ、目が覚めれば暗闇は消える」
ユネ「では起きたまま、いい子で寝ていろ。一時間でコメットが起き出してくるだろう」
レ「主任は寝てるのか?」
ユネ「そうだ」
 ユネストの答えに、助手達が少し怪訝そうな顔をした。だがレイクはそちらを見ていなかった。

更新日:2015-12-26 10:01:46

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ORIGIN180E ハルカイリ島 収監編 2