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 以前この部屋で彼は目覚め、初めてあの女医師とカンムを見たのだった。

 視線を回すと、当時と同じようにカンムらしき男がいた。
 部屋の向こうの小部屋に、壁のガラス窓を通して彼が立っているのが見えていた。

 小部屋はよく手術室などの横に付いている、別室のような物らしかった。そう気づいたのは、大学の付属病院にも似たような部屋があったからだ。
 付属病院の救護科も、基本的には同じような造りだった。
 大きな一続きのスペースがあり、そこは本部室と呼ばれていた。そのメインルームの一画に手術室が作られていて、併設する形で細長い小部屋があった。
 この場所にある小部屋も、同じように技師たちが働く場所のようだった。
 レイクは以前ここへ来た時のように、寝台に仰向けになって横たわり、ベルトで体を固定されていた。
 しかしこちらの部屋には今、人が一人もいなかった。カンムのいる小部屋にだけ、技師が座って作業していた。


 カンムは何故か仏頂面だった。ふとした拍子にレイクと目があっても、全然近づいてこなかった。
 医者は技師らに何か指図をしてしゃべっていた。

 そのままレイクが見ていると、やがて両開きドアから数人の男が入ってきた。
 彼らは黒い制服を着た隊員のようで、ベッドの足元に色々な道具を置き始めた。
 中の一人はホースのような物を持っていた。それを部屋のどこかに接続すると、先から水だか湯だかを出してみていた。

 ホースを持った男が近づいてきた。
 彼はいきなり、レイクの足に手をかけて股を割った。そして裾の長い上衣を胸までたくし上げると、出てきた水で少年の下半身を洗い始めた。
 レイクはまくられた衣服が邪魔になってよく見えず、首を上へ浮かせた。
 だがベルトはきつく体に巻きついていて、思うように動かせなかった。それで足の方を動かして、どうなっているか知ろうとした。
 男の方はレイクが動くので、一旦手を止めると顔を上げた。そして思いきりすごんだ目つきで少年をにらんだ。

 しばらくそうしてから、彼は口の中でブツブツ何か言うと、また作業を始めた。
 他の人間が周りに寄ってきて、一人がタオルを持って立った。

更新日:2015-10-20 20:38:03

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