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ホントはね・・・③ (潤side)

俺に救いを求める

そのあまりにも儚くて綺麗な泪に

愛おしさが募る・・・



他の男を想って泣いているのに

その身体を抱き留めれば

自分の中に湧き上がるくすぐったい感情・・・



自分を失う程に翔さんが好きなニノ・・・

一途に・・・健気に翔さんを想うニノを救ってやりたい・・・

俺が・・・何とかしてやりたい・・・



「翔さんがいない時には

俺が一緒にいてやるから・・・

だから・・・他の奴らはやめておけよ」



ニノの瞳が妖しく揺れて俺を映す



「潤くん・・・」



呼ばれれば自然と重なる・・・唇・・・



頭の片隅では冷静な俺がダメだと警鐘を鳴らす・・・

だけど・・・



俺の手は俺の意思とは関係なく

ニノの身体を彷徨い口づけは熱さを増していく・・・



「あ・・・じゅ・・・・・・」


「・・・俺がニノの隙間を埋めてやる・・・

不安なんて感じない様に・・・

そして・・・

ちゃんと翔さんと巧くいくように

カバーしてやる・・・」



耳元に囁いて・・・

頬から反らされた首筋に唇を這わせて

更に下へと向かえば

ニノの腕が背中に縋る様に回される



「んっ・・・はぁ・・・」



荒い息が絡み合い

鼻から抜けるニノの色っぽい声が俺を煽る



「・・・じゅ・・・・・・あぁ・・・」



ニノが俺の助けを必要とするなら

俺は躊躇わずに手を差し伸べよう・・・

ニノの想いが叶う様に・・・








ニノの仕掛けた網に

自ら飛び込んでしまった事に気付かずに

俺はニノの身体に溺れていった・・・



そして・・・









翔さんが海外に行って留守の間

俺は毎日ニノと過ごした

ニノが寂しがらない様に

ニノが不安にならない様に・・・



だけど・・・



明日、翔さんが帰ってくる

そうすれば俺は当分お払い箱・・・



始めはニノの為だったのに

いつの間にかニノへの想いが膨らんで

俺の方がニノから離れられなれなくなっていた・・・



ニノの眼差しに

ニノの声に

ニノの馨りに

ニノの身体に

・・・囚われる・・・



ミイラ取りがミイラになったみたいに

ニノから逃れられない・・・



そしてそんな俺の心を見透かすように

ニノは言うんだ



『潤くんが好きだよ・・・』



その台詞の裏に隠れているのは



『でも愛しているのは翔ちゃんなんだ・・・』



俺に向けられる事のない愛の言葉

最初から解っていたハズなのに・・・



それでも俺は

ニノから離れられずに

ニノが望むまま都合の良い男を演じて

ニノの傍にこの身を置く・・・







ニノが望む限り

俺は・・・















更新日:2016-04-23 00:38:38

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