見た事もない迫力のある翔さんを前にして

俺は言葉を失った



それだけ翔さんは本気でニノを愛していて

ニノも翔さんと別れる気なんて少しもなくて・・・

俺のはただの横恋慕・・・



時々ニノが相手をしてくれるだけで

満足していれば良かったのに

出してしまった欲・・・



ニノを俺だけのモノにしたいと

願ったのは真実・・・



だけど・・・



肝心のニノの心が手に入らなければ

意味のない事なのに・・・



翔さんをこんなに怒らせて

ニノの倖せを脅かして・・・



今更ながら

バカな事をしたとしか言い様がない・・・



「・・・・・・ごめん」


「・・・お前はバカか？」


「・・・・・・・・・。」


「お前は『カズの倖せは俺が護る』って

カズに言ったんだろ？

なのにどうしてカズを泣かせるんだよ・・・！」


「泣かせる？

ニノが泣いたの・・・？

どうして・・・？」


「そんな事俺に訊くな

自分で考えろ！」


「・・・・・・。」


「兎に角カズを泣かせるな

俺が言いたいのはそれだけだ

じゃ・・・

俺が居ると飯が喉を通らないみたいだから

俺、もう帰るわ

会計は済ませておくからゆっくりしていけよ」


「翔さん・・・」


「・・・あぁ・・・それから・・・」



立ち上がった翔さんは

思い出したように俺を振り返った



「カズの身体にもう痕を残すなよ？

次に見付けたら・・・



殺すぞ？」