「・・・カズは俺と別れたら倖せ・・・？」


「・・・うん・・・そう・・・」


「嘘だ・・・

こんな泣き貌して・・・」



カズの頬に手を添えて貌を覗き込めば

とめどなく流れる泪が

飴色の瞳を溶かしてしまいそうだ・・・



以前・・・

智くんと雅紀に言われた事があった・・・

もっとカズの気持ちを考えてやれって・・・

カズをちゃんと見てやれ・・・って・・・



でも俺は・・・



「・・・泣いてなんてない・・・もん･･･

翔ちゃんなんか・・・も・・・いらない・・・んだから・・・

他にも・・・いっぱい俺のコト・・・

好きって・・・言ってくれる人いるし・・・

しょ・・ちゃ・・・ばか・・・も・・・キラ・・イ・・・

しょ・・・・・・」



俺を好きで・・・好きで堪らない・・・って聴こえる・・・

気付いて欲しかった・・・って聴こえる・・・



カズは俺の心ない発言にどんなに傷付いただろう・・・

自暴自棄になって他の男に抱かれて・・・



そして・・・



そんなカズにも気付かなかった鈍い俺に

どんなに腹が立っただろう・・・

どんなに悲しくて寂しかっただろう・・・



なのに・・・カズは・・・

俺の倖せを願って

自分が悪者になって身を引こうとしている・・・



カズの深過ぎる想いに

今まで気付かなかった俺は・・・



俺は本当に・・・



バカだ・・・






「カズ・・・俺は絶対に別れないからな」


「・・・しょ・・・ちゃ・・・」



腕の中のこの上もなく愛おしいこの存在を

俺は決して離さない

喩え世界中を敵に回しても・・・！