- 7 / 13 ページ
面食らった隼人と、フゥ太まで車に乗せると、草壁はそれ以上の質問をシャットアウトした。重苦しい沈黙だけが、車内に立ち込め・・・息苦しい。
煙草を吸っていいか聞こうとしたその時、車は駐車場と思しき場所に滑り込んだ。
「・・・ここは」
見覚えのある場所だった。
「並盛神社・・・?」
降り立った場所は、間違いなく並盛神社だ。
「なぁ、煙草・・・吸ってもいいか?」
云いながら、すでに煙草を取り出している隼人に、草壁はどうぞ・・・と苦笑した。隼人が煙草を灰にする間、フゥ太はなにやら興味深げに周囲を見回し、草壁はトランクの中から恭弥の荷物を取り出す作業を終えた。
「私の後に付いてきて下さい」
ここまで来て、回れ右する訳にもいかず、隼人は携帯灰皿に吸殻をねじ込んだ。うっそうと茂った森の中、古めかしい神社・・・こんなところに本当に恭弥がいるのかと、疑問に思う。中から明かりの漏れる様子もなく、人の気配などない。
「本当に、この中に恭弥がいるんだろうな?」
今更のように、疑った。よくよく考えれば、草壁は恭弥の腹心の部下だ。恭弥が命じれば隼人とフゥ太の二人を抹殺することすら厭わないだろう。その考えに思い当たり、隼人は唇を噛み、自然とフゥ太を背後にかばった。
「大丈夫ですよ・・・」
そんな隼人の気持ちを見透かしたように、草壁は唇の端をあげてみせた。
「付いてきて下さい・・・ちょっと戸惑うことがあるかもしれませんが」
意味深な言葉と共に、歩き出した草壁のあとを慎重に付いていく。暗い建物に向かって躊躇なく歩いていく草壁の姿が・・・消えた。
「あ・・・」
フゥ太と顔を見合わせ、思わず、足を止める。
「大丈夫です、まっすぐそのまま・・・」
声だけが、二人を導く。ままよ・・・と目をつぶり一歩踏み出した、二歩、三歩と歩いたところで、隣でフゥ太が驚嘆の声を上げるのを聞いた。
「な・・・」
目を開けて、絶句する。
「ようこそ、われわれのアジトへ・・・中で恭さんが待ってますよ」
先ほどまでの並盛神社ではなかった、料亭・・・いや、城。純和風だが、あきらかに神社ではない内装。
「これが・・・【風紀財団】のアジトなんだね」
小さな、フゥ太の呟きに、隼人はぎょっとする。自分も知らないコトを、恭弥との接点があまりないはずのフゥ太が知っているとは・・・
「俺だけが、何も知らないのか ───」
落胆が声に出る。
「 ─── キミには、教えてないからね」
くすっ、と笑う声。音もなく開いたふすまに肩を預け、浴衣姿の恭弥がそこに立っていた ─── 。
煙草を吸っていいか聞こうとしたその時、車は駐車場と思しき場所に滑り込んだ。
「・・・ここは」
見覚えのある場所だった。
「並盛神社・・・?」
降り立った場所は、間違いなく並盛神社だ。
「なぁ、煙草・・・吸ってもいいか?」
云いながら、すでに煙草を取り出している隼人に、草壁はどうぞ・・・と苦笑した。隼人が煙草を灰にする間、フゥ太はなにやら興味深げに周囲を見回し、草壁はトランクの中から恭弥の荷物を取り出す作業を終えた。
「私の後に付いてきて下さい」
ここまで来て、回れ右する訳にもいかず、隼人は携帯灰皿に吸殻をねじ込んだ。うっそうと茂った森の中、古めかしい神社・・・こんなところに本当に恭弥がいるのかと、疑問に思う。中から明かりの漏れる様子もなく、人の気配などない。
「本当に、この中に恭弥がいるんだろうな?」
今更のように、疑った。よくよく考えれば、草壁は恭弥の腹心の部下だ。恭弥が命じれば隼人とフゥ太の二人を抹殺することすら厭わないだろう。その考えに思い当たり、隼人は唇を噛み、自然とフゥ太を背後にかばった。
「大丈夫ですよ・・・」
そんな隼人の気持ちを見透かしたように、草壁は唇の端をあげてみせた。
「付いてきて下さい・・・ちょっと戸惑うことがあるかもしれませんが」
意味深な言葉と共に、歩き出した草壁のあとを慎重に付いていく。暗い建物に向かって躊躇なく歩いていく草壁の姿が・・・消えた。
「あ・・・」
フゥ太と顔を見合わせ、思わず、足を止める。
「大丈夫です、まっすぐそのまま・・・」
声だけが、二人を導く。ままよ・・・と目をつぶり一歩踏み出した、二歩、三歩と歩いたところで、隣でフゥ太が驚嘆の声を上げるのを聞いた。
「な・・・」
目を開けて、絶句する。
「ようこそ、われわれのアジトへ・・・中で恭さんが待ってますよ」
先ほどまでの並盛神社ではなかった、料亭・・・いや、城。純和風だが、あきらかに神社ではない内装。
「これが・・・【風紀財団】のアジトなんだね」
小さな、フゥ太の呟きに、隼人はぎょっとする。自分も知らないコトを、恭弥との接点があまりないはずのフゥ太が知っているとは・・・
「俺だけが、何も知らないのか ───」
落胆が声に出る。
「 ─── キミには、教えてないからね」
くすっ、と笑う声。音もなく開いたふすまに肩を預け、浴衣姿の恭弥がそこに立っていた ─── 。
更新日:2015-08-30 20:32:16